金木犀オイルの簡単な作り方。 ヘアオイルやハンドクリームにも
まちを歩くとふと香る、甘くさわやかな金木犀。
オレンジ色の小花をいっぱいに咲かせ、秋の訪れを知らせてくれます。
乾燥する時期のお肌の保湿に、日々の疲れを癒すバスタイムに。
心も身体もケアが必要な季節の変わり目は、金木犀の香りに包まれて。
今回は、こだわりのハーブを扱う「HERB MEISTER CENTER」の八木さんに、自宅で簡単につくれる金木犀オイルや、それを活用したヘアオイル、ハンドクリーム、バスソルトの作り方を教わりました。
古くから親しまれてきた
金木犀の香り
秋の風物詩でもある金木犀は、中国から日本に渡来しました。金木犀の学名は「Osmanthus(オスマンサス)」で、「osme(香り)」と「anthos(花)」というギリシャ語が語源と言われています。和名の「金木犀」は、木肌が灰色で動物のサイ(犀)に似ていることからその名がついたといわれています。
「金木犀の香りには、心を落ち着かせるリラックス効果があるとされています。就寝前に金木犀オイルの香りを楽しむのもリラックスできておすすめです。
秋に咲く花ではありますが、クリームやヘアオイルなどの金木犀のアイテムで、一年中香りを楽しむ方も増えています」(八木さん)
自宅で簡単につくれる
「金木犀オイル」
■金木犀オイル(金木犀の浸出油)
【材料】
金木犀の花※...大さじ 2
ホホバオイル...50cc
※今回は市販の乾燥させたものを使用しています。生花で作る場合は摘み取った後に枯れた花やゴミを取り除き、軽く水で洗い、ペーパータオルなどでよく水気をふき取ってからご使用ください。五分~八分咲き時点で摘み取ると香りが出やすくおすすめです。
植物の有効成分をオイルに抽出させたものを「浸出油」と呼びます。浸出油の作り方は、湯煎をして有効成分を浸出させる「温浸法」と、常温で数週間漬け込む「冷浸法」の2つがあります。いずれの方法でも自然な金木犀の香りが楽しめます。
「熱を加えたり、日光に当てたりするので、使用するオイルはなるべく酸化しにくいものを選びましょう。今回は酸化しにくく、保湿性も高いホホバオイルを使います」(八木さん)
【温浸法での作り方】
(1)アルコールスプレーなどを用いてビーカー※を消毒し、ペーパータオルで拭き取ります。金木犀オイルを保存する容器も同様に消毒をしてください。耐熱性がある容器の場合は、煮沸消毒も可能です。煮沸後はしっかりと乾かしましょう。
※湯煎可能な耐熱容器であれば、ビーカーでなくても構いません。
(2)ビーカーに金木犀大さじ2を入れた後、ホホバオイル50ccをゆっくりと注ぎます。金木犀の花がひたひたになるくらいが目安。
(3)鍋にお湯を沸かし、沸騰したら火を弱めます。ビーカーを入れ、ガラス棒で時折かき混ぜながら20分ほど湯煎します。香り成分が出てきて、金木犀のやさしい香りがあたり一面に。
(5)ビーカーを取り出し、少し冷ました後、ろ紙(お茶パック・コーヒーフィルター・さらしなどでOK)を使って、オイルを濾していきます。最後はしっかりとしぼります。
※取り出したばかりのビーカーは熱いので、やけどには十分注意してください。
「生花を使う場合はこの時、かたく絞りすぎないように注意してください。かたく絞りすぎると水分が出てしまい保存性が悪くなってしまいます」(八木さん)
(6)濾したオイルを保存容器に入れて、完成です。ホホバオイルは酸化しにくいと言われていますが、常温の涼しい場所で保管し、3ヶ月を目安に早めに使い切るようにしましょう。
【冷浸法での作り方】
続いて、火を使わない冷浸法の作り方をご紹介します。材料は温浸法と同様です。
(1)温浸法の作り方と同じように、蓋つき瓶をアルコールで消毒します。
(2)蓋つき瓶に、金木犀大さじ2とホホバオイル50ccを注ぎ、日が当たる場所に2〜3週間置いておきます。1日1回瓶を軽く振って、全体をなじませるのがポイントです。
「日当たりの良い場所に置く理由は、オイルを温めて浸出を促すためです。もしオイルの酸化が気になる場合は、日光に当てなくても大丈夫です。いずれの場合も、成分が抽出されやすいように瓶を忘れずに振るようにしましょう」(八木さん)
(3)2〜3週間経ったら、温浸法と同じように濾し、オイルのみを保存瓶に移しかえて完成です。保管方法は温浸法の場合と同じです。
金木犀オイルで
髪の毛に潤いを
完成した金木犀オイルの使い道はさまざま。プッシュ瓶に入れ替るだけで、金木犀の香りにやさしく包まれるヘアオイルに。
「お好みで精油を入れたい場合は、30mlのオイルに対し3滴まで(0.5%濃度)。金木犀の香りを楽しみたいときは、そのままお使いいただくのがおすすめです」(八木さん)
肌にさらっとなじむ
金木犀のハンドクリーム
この時期、気になり始めるのが、肌の乾燥。金木犀オイルを活用して、この時期にぴったりなハンドクリームを作ってみましょう。
■金木犀のハンドクリーム
【材料】
シアバター...20g
金木犀オイル...10ml
※完成したハンドクリームは、使用前にパッチテストを行ってください。
【作り方】
(1)シアバター20gをウォーマーに入れ、スプーンなどでかき混ぜながら溶かします。ウォーマーがない場合は、耐熱容器にシアバターを入れ、湯煎してください。シアバターは融点が低いので、湯煎の場合、火にかけなくても大丈夫です。
※危険なので電子レンジでは温めないでください。
(2)シアバターが液体になったら、金木犀オイル10mlを加え、スプーンなどでよく混ぜ合わせます。精油を入れたい場合は、3滴まで(シアバターと金木犀オイルに対して濃度0.5%が目安)。
(3)火から外したら、そのまま遮光保存瓶に入れて、固まるまで冷まします。白っぽく固まったら完成です。
「夏場につくるときは、気温が高く常温では固まらないため、冷蔵庫に入れるようにしてください」(八木さん)
冷暗所(夏場は冷蔵庫)で保管し、3ヶ月を目安に使い切ります。酸化するのを防ぐため、遮光瓶での保存が好ましいですが、1ヶ月ほどで早めに使い切る場合は、遮光瓶以外のものでも。保存中にテクスチャーや香りに変化が生じたら使用を中止してください。
「シアバターは、シアバターの木の果実の仁からとれるオイルです。融点が低く、手に置くと体温で溶けて伸びが良くなります。手だけでなく、ボディクリームやヘアバームとしてお使いいただいても。SPFが6〜8ほどあり、乾燥や紫外線から肌や髪を守ってくれます」(八木さん)
秋の夜長を楽しむ
金木犀のバスソルト
朝晩は冷え込む日が多くなるこの時期。金木犀のバスソルトで、ゆっくりと身体をあたためましょう。
【材料】
エプソムソルト...150〜200g
金木犀オイル...10ml
【作り方】
作り方は簡単。エプソムソルト150〜200gに金木犀オイル10mlを加えてよく混ぜたら完成です。半日〜1日置いてから使うと、香りがたちやすくなります。
浴槽200 リットルに対して、約100~150gが使用の目安(エプソムソルトの説明書に記載の分量に従ってください)。作ってから、2週間程度は保存が可能です。
「少量を肌に塗り込み、スクラブのようにも使っていただけます。お風呂上りは体がつるつるになりますが、滑りやすくもなるので気を付けてくださいね。また、使用後は、お湯が温かいうちに浴槽を掃除する方がオイルが落ちやすいです」(八木さん)
最近よく耳にする、エプソムソルト。「ソルト」と名前がついていますが、実は塩分は入っていません。
「エプソムソルトは、イギリスのエプソム地方で発見された硫酸マグネシウムの高濃度の結晶で、海水に含まれる天然成分です。塩分は入っていないので、風呂釜を傷めず、赤ちゃんと一緒に入っても大丈夫です。エプソムソルトは、肌のバリア機能を高め、血行を促進する他、汗が出やすくなるのでデトックス効果もあります。マグネシウムを肌から吸収すると、体の神経を沈める効果があるといわれているため、リラックス効果も期待できます」(八木さん)
ご自宅で手軽にできる、金木犀オイル。
天然の金木犀のやさしい香りに癒されて。
寒くなるこれからの季節、心おだやかに。
※今回使用したホホバオイル、シアバター、容器などはHERB MEISTER CENTERのオンラインショップでもご購入いただけます。
HERB MEISTER CENTER ONLINE SHOP
HERB MEISTER CENTER(ハーブマイスターセンター)
自然と調和した暮らしをテーマにハーブ本来の風味、香りを大切に美味しいブレンドハーブティーを作る農薬不使用ハーブティー専門店。
店舗には100種類以上のシングル・ブレンドのハーブティーのほか、オーガニック精油、アロマクラフト用品をラインナップしている。
【住所】東京都練馬区桜台1-41-2
【電話番号】03-6676-1608
【営業時間】11:30~16:00
【定休日】月曜日・火曜日
八木 彩(ハーブマイスター)
「HERB MEISTER CENTER」にて、お客様の体調や希望に合わせてハーブを提案、ブレンドもしてくれるハーブマイスター。NPO法人日本ハーブ振興協会認定「プロフェッショナルアドバイザーオブハーブ」の資格を持ち、季節のハーバルケアや暮らしのハーブ活用法などを講座やSNSで配信。
2023年10月20日公開