植物の記憶を紡ぐように
美しい姿を手元へ。
植物化石の名を持つ「フィトリート」

遥か昔の地層にひっそりとカタチを刻印する植物。
自然の成す力でその姿をありのままに残した美しさ。
その姿に着想を得てつくったのが、伊語で“植物化石”を表す「フィトリート」です。
2021年の秋におひろめし、
たくさんの方からご好評いただいたシリーズの新作が登場。
一つひとつ個性のある植物の姿を職人が革にとどめた財布をご紹介します。



4億年前から生き抜く
神秘的な植物、シダ。

無垢なヌメ革に浮かぶシダの姿。
すっと伸びた軸にいくつもの小さな葉を付けて、
地上で葉をひろげていた時の様子を想起させるように。

シダは、小さな葉が羊の歯に似ていることから“羊歯(シダ)”という呼び名が付いたのだとか。その起源は古く、4億年前ごろからといわれています。葉の裏が白いことや、胞子をたくさん付けることから「心の純白」「長寿」「子宝に恵まれる」という意味を持ち、縁起の良い植物とされています。




長財布50,600円(税込)

大胆かつ繊細に。
gentenならではの技法

フィトリートは、一見すると、植物のシルエットを型押ししているように映るかもしれません。じつは、革の内側に本物のシダを一つひとつ入れた、gentenならではの手の込んだつくりです。

その技法は、大胆かつ繊細なもの。1枚の革を2枚に分けてから、シダの葉を丁寧に挟み込んで革を戻します。ぴったりと圧着させたら、さらにひと手間。革の表面に職人の手で1点1点磨きをかけることで焦がしの陰影をつけ、シダの表情を浮かび上がらせています。
実はこの作業こそが最も職人の感性を要する工程です。

フィトリートの素材は、上質な国産のヌメ革です。染色を施していない無垢なヌメ革は、繊維がきめ細かくなめらか。シダの繊細な表情が浮き彫りになるのは、良質なオイルを含む素材だからこそといえます。




何度も失敗から学び
辿り着いた理想の仕上がり

革と植物という2つの天然素材からなるフィトリート。完成までは何パターンも試作を繰り返しました。

ヌメ革は、産地の異なる3種類を用意。植物は、モミジやイチョウ、シダなど5種類ほどをヌメ革と組み合わせて理想の仕上がりを探りました。

こちらは試作初期の失敗作。同じ技法で植物を挟み、同じように仕上げ加工したものの、軸の部分はシルエットが浮き出ても、葉の部分はおぼろげだったりと、思うようにいきませんでした。

選ぶ植物とヌメ革には絶妙な相性があり、これが仕上がりの明暗を分けました。試作を重ねて、最終的には革工芸用の高品質な無染色のヌメ革とシダの組み合わせでつくることができました。


新作のフィトリートでは、2種類のシダの葉を財布の表と裏に配しています。繊細な葉とダイナミックな葉、表と裏で違った表情を味わうことができます。


財布に仕立てる前のパーツたち

本物の植物を一つひとつ使っているからこそ個性豊かで、同じものは二つとありません。世界に一つだけの出合いをお楽しみください。

長財布でありながらクラッチのような趣もあり、植物の造形美が感じられて手元が上品に映えます。

標本のような趣がある真ちゅうの口金を開けると、ベージュとアイスグリーンの内装。素材は、贅沢にカーフ(生後6カ月以内の仔牛の革)を選びました。センターの仕切り付きの小銭入れや両サイドに備えたカードポケットなど、十分な収納力。シンメトリーのつくりでバイカラー仕様なので、用途を分けてお使いいただくこともできます。




共に時を重ねて増してゆく魅力。
経年変化とお手入れについて

素材が無垢なヌメ革ということで、経年変化やお手入れが気になる方も多いかと思います。
財布に仕立ててから1カ月ほど室内に置いたものと、革にシダを挟む前のまっさらなヌメ革を並べてみました。ヌメ革の色の変化は速く、全体に色と艶が増して、あめ色に近づきながらシダの輪郭がより際立ってゆきます。

使い始めの少しの期間は、直射日光を避けた明るい室内に置くと、革の内部のオイルが表面に出てきてコーティングの役割をするため、キズやシミが付きにくくなります。

色づく前からすぐに使い始めたい場合は、gentenの防水スプレーをかけることをおすすめします。手元で、シダの陰影が少しずつ深まってゆくのを楽しむことができます。

お手入れのクリーム類は、数か月使用して、乾燥が気になってから。新品の状態でのクリームの使用はシミの原因になりますのでご注意ください。

植物の繊細な表情を革の中に閉じ込めたフィトリート。
豊かな経年変化のなかで、きっと手にするたび新鮮な表情に出合えることでしょう。
自然のものを使い仕立てているため限られた数だけのご用意になりますが、
フィトリートがあなたにとって特別な存在になれば幸いです。

店舗、オンラインショップともに8月下旬頃の販売開始を予定しています。
※一部店舗ではお取扱いがない場合がございます。在庫の詳細は店舗にお問合せください。

2023年8月18日公開


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