シンプルに暮らすための収納術
「どんな暮らしをしたいか」から考える
心地よい空間づくり
春は新しい生活が始まる季節。この機会に部屋を片付けたい、不要なものを手放したい、と考えている人も多いと思います。すっきりと片付いた部屋で、シンプルに暮らすためには、何から始めたらいいのでしょうか。ライフオーガナイザーの会田麻実子さんに話を伺いました。
「私自身にも経験がありますが、自分に合わない方法で無理をして片付けても、すぐにリバウンドしてしまうんです。自分はどんなものが好きか、どんな暮らしや空間を心地よく感じるかなどの価値観を軸に、自分に合った片付け方を見つけて、暮らしを最適化していく作業がライフオーガナイズの基本です」
実は、会田さんは子どものころから片付けが苦手で、今の暮らし方、片付け方に行きつくまでに、数々の失敗を経験してきたそうです。そんな会田さん自身が実践している片付けの方法から、私たちが自宅やオフィスで応用できそうな3つのルールを教えてもらいました。
ルール1
とにかく楽にモノを出し入れできること
ダイニングテーブルの奥の席が、会田さんの定位置ですが、そこで使うモノはすべて座ったまま手の届く場所に収納してあります。仕事や事務作業に使う文房具、食事のときに使うティッシュやウェットティッシュ。会田さんはメイクもダイニングテーブルでするので、鏡やメイクアイテム一式もダイニングの棚に収納されています。
ルール2
毎日必ず使うモノを選んで見えるところに
「一軍=毎日絶対使うモノと、それ以外、というシンプルな分類方法でいいと思います。使いたいモノがすぐ見つかるだけでも、暮らしのストレスがとても軽くなります」
ルール3
掃除道具もすぐ手の届くところに
きれいな部屋をキープするためには、こまめな掃除が欠かせませんが、そこにも会田さんならではの工夫がありました。リビングの棚の脇に飾られたアートパネルの裏には、いつでも使えるようにフローリングワイパーがセットされています。また、ダイニングテーブルの脚には、パンくずや消しゴムのかすを掃除するブラシが吊り下げてあります。
「さあ掃除しようって思ったとき、掃除道具が別の部屋の収納場所にしまい込んであると、それを出してくるのが面倒ですよね。すぐに手の届くところに掃除道具を置いておくだけで、こまめに掃除をするようになるから、きれいな部屋をキープできるんですよ」と会田さん。
ライフオーガナイズとは、自分の価値観を
ベースに片付けの仕組みをつくること
ライフオーガナイズとは、1980年代にアメリカで生まれた整理術をベースに、日本人向けに体系化された片付けの考え方です。会田さん含むライフオーガナイザーは、ただ単にクライアントの部屋を片付けたり、モノを捨てたりするのではなく、それぞれの人の価値観に寄り添い、より暮らしやすくするための片付けのサポートを行っています。
「自分自身や人生、暮らしなど、さまざまなものを俯瞰することで、自分自身の取扱説明書を作り、それをバイブルのように携えながら片づけに取り組もう! というのがライフオーガナイズの考え方です」(会田さん)
一口に「心地よい暮らし」といっても、好きなものに囲まれた暮らし、家族や仲間と笑顔で過ごせる暮らし、ひとりでほっとくつろげる暮らしなど、一人ひとりイメージする暮らしは違います。「片付けなきゃ、捨てなきゃ」と焦る前に、まずは、自分が理想とする暮らしをイメージするところから始めてみてはいかがでしょうか。
次回は「生活感を上手に隠す方法」をお届けします。お楽しみに。
シンプルに暮らすための収納術のその他の記事はこちらから
第1回 シンプルに暮らすための収納術
第2回 生活感を無理なく隠すテクニック
第3回 誰か来る日のおもてなし収納
ライフオーガナイザー®
片づけ収納ドットコム副編集長
金融企業の広告部門を経て、子どもの頃から苦手だった片づけを克服した経験をもとに、ライフオーガナイザーの資格を取得。自宅公開型のレッスンや、クライアント宅での片付けレッスンを通じて「自分らしい片付け」を提案して好評を得ている。