桜のスイーツで、春の訪れを。
桜の塩漬けを使ったサブレ

明るい春の情景を映し出した「桜サブレ」。
春の香りがふわりと香る、桜の塩漬けを使ったお菓子です。
簡単に作ることができるレシピを料理研究家の江口恵子さんに教えてもらいました。

ご自宅のお茶の時間に春らしさを添えて。
お花見に連れて行って、おだやかなひとときのお共に。


桜を暮らしに生かす
日本独特の文化と知恵

桜は、日本人が愛する春の風物詩。
目で見て楽しむのはもちろん、食用としても親しまれています。
そんな「食べる桜」の代表格が「桜の花びらの塩漬け」。桜の花びらや葉を塩漬けにすると、独特の芳香が生まれ、古くは咳止めや解毒作用を促進する生薬として暮らしの中にも根づいていたそうです。足早に過ぎてしまう美しい桜の姿を、長くとどめておきたい。そんな想いもきっと込められていたのでしょう。



桜の花の塩漬けを使った
「桜のサブレ」の作り方

■桜のサブレ

【材料】
桜の花の塩漬け(生地用)15g、(飾り用)20個
無塩バター・・・150g
粉糖・・・80g
卵黄・・・1個分
薄力粉・・・200g
「さくっと軽い食感に仕上げたかったので今回は粉糖を使いましたが、きび砂糖や上白糖など使う砂糖によって味わいや食感も違ってきます。きび砂糖の場合はほろほろっとした食感の素朴な味わいになります。食べ比べてみるのも楽しいですよ」(江口さん)


【桜の花の塩漬けの下準備】

(A)桜の花の塩漬けを流水でよく洗い、その後、たっぷりの水に30分ほど浸して塩気を抜き、キッチンペーパーなどで水分を軽く取り除く。

(B)花が大きめで、開き気味のきれいなものを飾り用に20個取り分ける。残りは生地に練り込む用として、しっかりと水気を切ったあとに細かく刻んでおく。

(C)飾り用の桜の花は、ラップをかけずに500Wの電子レンジで30秒加熱したあと、花びらの部分を優しくほぐす。その後、様子を見ながら10秒ずつレンジで加熱して乾燥させて、乾いたものから取り出していく。

「桜の花のサイズや水分の含み具合によってレンジで加熱する時間に差が生じてきます。乾燥したものをそのままレンジで加熱し続けると茶色く変色してくるので、こまめにレンジにかけて様子を見るようにしてください」(江口さん)

花びらをほぐし加熱することで、ふわっと花開いたようにボリュームが出て、飾ったときに見映えがよくなります。

「焼菓子の表面に乗せて使用する場合には、乾燥させすぎるとオーブンで焼く際に焦げやすくなるので、多少水気が残るくらいに仕上げます。乾燥させすぎないことで発色を良く仕上げることができます」(江口さん)


【作り方】
飾り用の桜の花のドライフラワーを作ったら、さっそくサブレを作り始めましょう。

(1)室温に戻してやわらかくしておいた無塩バターをクリーム状にしっかりと練る。

(2)(1)に粉糖を数回に分けて加え、その都度しっかりとすり混ぜる。
※「すり混ぜる」は、器の底をこするようにして混ぜることをいいます。器が深めの場合は少し斜めに傾けるとすり混ぜやすくなります。

(3)(2)に卵黄を加えてしっかりと混ぜあわせる。
※卵黄を切るように混ぜたあと、全体になじませるように軽く混ぜあわせます。

(4)(3)に薄力粉の半量を加えて、切るように混ぜる。
※薄力粉はダマを取り除くために、事前にふるいにかけておきましょう。

(5)(4)に残りの薄力粉と刻んだ桜の花の塩漬けを加えて、桜の花の塩漬けがまんべんなく行きわたるように切り混ぜる。ひとまとまりになるまで切り混ぜたら生地の完成。

(6)(5)をラップに包んで軽く伸ばした後、冷蔵庫で30分以上寝かせて生地を締める。

(7)冷蔵庫から生地を取り出したら、厚さ5㎜程度になるまで伸ばす。

「生地の表面に粉をふって伸ばすと粉っぽさが残るため、ラップに包んだまま伸ばすのがおすすめです」(江口さん)

(8)伸ばした生地をクッキー型で抜く。またはナイフで長方形にカットしてオーブンの天板に並べる。

(9)生地の表面に牛乳を塗布したあと、桜の花のドライフラワー(前述の【桜の花の塩漬けの下準備】参照)を茎を軽く押さえるようにして乗せる。オーブンに入れて160度で15~18分ほど焼く。

「桜の花の塩漬けなど香りを良いものを生地の表面に乗せる場合には、卵黄よりも匂いの少ない牛乳を塗布するのがおすすめです」(江口さん)

生地に練り込まれた桜の花の塩漬けのほんのりとした塩気と甘みが調和して、一口もう一口とあとを引くおいしさ。表面に飾った桜の花の香ばしい味わいもアクセントに。

食べておいしく、愛でて楽しい桜のサブレ。
「今日、近くの公園に出かけてみない?」
バッグにそっと忍ばせる春のかけら。
弾む気持ちもたくさん詰め込んで。



natural food cooking/ORIDO 江口恵子(料理家・フードスタイリスト)
雑誌、広告、WEB、食品メーカーのレシピ提案、料理撮影に携わる。また、料理教室、ケータリング、カフェ、とあらゆるシチュエーションで野菜たっぷりの美味しくて体に優しい料理を伝えるべく活動を続けている。

『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)
『子どもと一緒に季節の食しごと&保存食』(マイナビ出版)

natural food cooking
ORIDO

2023年3月24日公開