米麹を使った甘酒の簡単な作り方と
アレンジレシピ

大寒を迎え、寒さが身に沁みる今の時季。
冬の定番の飲み物、甘酒で体も心もぽかぽか。

おうちで作る甘酒は、生の米麹を使って自然の甘みたっぷりに。
お正月で余ったお餅を使った、甘酒のお汁粉もご紹介します。



おいしいだけでなく、
栄養豊富な「甘酒」

「飲む点滴」といわれるほど栄養もたっぷり詰まった甘酒は、寒さで疲れがとれにくい冬の時期の養生にも。甘酒の主原料である麹は、脳や体のエネルギーとなるアミノ酸の他、食物繊維やビタミンB1・B2など、様々な栄養素が含まれています。

甘酒は、江戸時代より疲労回復に飲み親しまれてきた、古来より受け継がれる暮らしの知恵のひとつです。近年では、腸活の食材としても注目されています。




炊飯器ひとつで簡単においしく。
食感も楽しい「赤米甘酒」の作り方

ご自宅の炊飯器で簡単に甘酒を作ることができるレシピを料理家の江口恵子さんに教わりました。


■赤米甘酒
【材料(約20杯分)】
もち米 100cc
赤米 80cc
水 360cc+400cc
生麹 400g
おろし生姜 お好みで

「新年の幕開けにもふわさしい彩りにしたいと思いまして、今回は赤米を使っています。同じく材料に使っているもち米は、砂糖を使っていないのにふくよかな甘みが楽しめるので甘酒作りに適しています。赤米の皮のぷちぷちとした歯ごたえと自然の甘みをお楽しみください」(江口さん)

【作り方】

(1)もち米と赤米を合わせて洗い、360㏄の水を注いで30分浸水させた後に炊く。

(2)炊きあがったものに、水400㏄を加えてまんべんなく混ぜる。

「水を加えるのは米をふっくらと柔らかくする役割だけでなく、この後に生麹を加えるにあたり、温度が高すぎて麹菌が壊れてしまうのを防ぐ役割も果たしています」(江口さん)

(3)(2)に麹を加えて、全体をまんべんなく混ぜる。

「甘酒のおいしさの決め手は麹です。生麹は、自然食品を扱うお店や麹専門店によるネット販売で手に入れることができます。お米の産地によって甘みや香りに個性があるのと一緒で、麹も蔵によって個性がさまざまですので、好みの味わいを比べてみるのも面白いと思います」(江口さん)

(4)乾いた布巾をかけて、炊飯器の蓋を開けたまま、温モードで6~8時間おいて発酵させて完成。

「炊飯器の蓋を閉めてしまうと温度が上がりすぎて麹菌が壊れてしまうので、開けて保温してください。保温時間は室温などによって異なります。室温が低い場合は8時間が目安です」(江口さん)


おろし生姜をトッピングすると、甘みの中にすっきりとした味わいが楽しめます。
夏は冷蔵庫で冷やして「冷やし甘酒」にするのもおすすめです。

赤米甘酒は、赤米のぷちっとした食感が楽しく、麹のしっかりとした甘みを堪能できます。今回のレシピはアレンジしやすいように少し濃いめに作っているので、飲むというより食べる感覚。さらっと飲みたい場合は、完成した甘酒に好みの濃度になるように水を足してひと煮たちさせて温めてください。自然の甘さなのでお子さんのおやつとしても。

「余った甘酒は、冷蔵で1週間から10日ほど保存可能ですが、発酵が進むため酸味が加わっていきます。冷凍保存なら2~3か月はおいしく味わえるでしょう」(江口さん)


■大正屋醤油「米こうじ400g」
今回使用した米こうじ。島根県産米仕様で、甘酒や塩麹作り専用の生麹です。



お正月の余った食材でアレンジ
「甘酒のお汁粉」

少し味わいを変えたいときは、餡やお餅を加えて、お汁粉に。砂糖を使わず、甘酒を使うことで、あずきの甘味を引き立て、やさしい甘さになります。

【材料(2杯分)】
赤米甘酒 200cc
こし餡 100g
水 50cc

切り餅 2個
栗の甘露煮 2個
黒豆 大さじ1

【作り方】
(1)鍋に赤米甘酒とこし餡、水を入れて火にかける。ぐつぐつと沸騰したら弱火にして2分ほど煮る。
※弱火にして煮ると、とろみが出て味全体がなじみます。

(2)(1)を器に注ぎ、軽く焦げ目がつくように焼いた切り餅、栗の甘露煮と黒豆を盛り付けて完成。

「今回はお正月の余った食材でお汁粉をつくりましたが、豆乳か牛乳とレモン汁を加えた『甘酒ヨーグルト』もおすすめです。甘酒1に対して豆乳か牛乳を1の割合で割ってレモン汁を加えるだけですっきりとした甘みのスイーツになります。
また、甘酒にお肉を浸しておくと柔らかくなり、砂糖やみりんで甘みを出すかわりにもなるので、生姜焼きなどにもおすすめです」(江口さん)

甘酒ひとつで、何通りもの楽しみ方ができそうですね。
食欲がわかないときは朝ご飯代わりに、温めていただくだけでおいしく栄養たっぷり。

ご自宅で簡単にできる甘酒づくり、ぜひ挑戦してみてください。


natural food cooking/ORIDO 江口恵子(料理家・フードスタイリスト)
雑誌、広告、WEB、食品メーカーのレシピ提案、料理撮影に携わる。また、料理教室、ケータリング、カフェ、とあらゆるシチュエーションで野菜たっぷりの美味しくて体に優しい料理を伝えるべく活動を続けている。

『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)
『子どもと一緒に季節の食しごと&保存食』(マイナビ出版)

natural food cooking
ORIDO

2023年1月20日公開