暮らしに役立つ
自家製ハーブチンキの作り方・使い方

緑が濃くなり、じんわりと蒸すような空気を感じ始めると、夏はすぐそこに。
強い日差しや紫外線対策はこれからが本番です。
ほてった体を癒すスキンケア対策に、また虫から体を守る虫よけ対策に。自宅で簡単に作ることのできる「ハーブチンキ」で快適な夏のくらしを。



暮らしの中に
自然の恵みを取り入れて

ハーブチンキとは、ハーブをアルコールに漬けてつくる濃縮液のことです。アルコールに漬けることでハーブの成分が溶け出しやすくなり、効能を引き出しやすくなります。

簡単にご家庭で作る事ができ、化粧水やうがい薬、マウスウォッシュ、入浴剤など様々な用途に活用できます。ハーブティンクチャーとも呼ばれ、西洋では万能薬として古くから親しまれてきました。

今回、こだわりのハーブを扱う「HERB MEISTER CENTER」の八木さんにハーブチンキの作り方を教わりました。
ベースとなるハーブチンキに加え、そちらを活用した化粧水、これからの季節に活躍する虫よけスプレーの作り方をご紹介します。



ご自宅で簡単にできる
「ハーブチンキ」


■ハーブチンキ
【材料(100ml分)】
乾燥ハーブ(ヒース…2g、ラベンダー…2g、ローズマリー…2g、ローズヒップ…4g)
ウォッカ(ホワイトリカーでも可)…100ml

※アルコールは度数35度以上のものをご使用ください。
※その他、ガラス瓶や保存用の小瓶などをご用意ください。

今回、使用するハーブはヒース、ラベンダー、ローズマリー、ローズヒップの4種類。「夏の体を整える」をテーマに化粧水として使うのに適した組合せです。
うがい薬であればセージ、タイム、ペパーミントなど、用途に合わせてハーブのブレンドを変えるのもおすすめ。

【作り方】


(1)アルコールスプレーなどを用いてガラス瓶を消毒、ペーパータオルで拭き取ります。瓶の蓋も消毒をしてください。

「瓶と蓋は煮沸消毒も可能です。その際は、容器に耐熱性があるかどうかを必ずご確認ください。また、煮沸後はしっかりと乾かしましょう。」(八木さん)


(2)ガラス瓶にハーブ4種類を入れた後、ウォッカ100mlをゆっくり注ぎ、軽く混ぜあわせます。


(3)密閉し、冷蔵庫などの冷暗所に2週間保管してハーブ成分を抽出します。
2週間経過したハーブチンキ(写真左)と作りたてのハーブチンキ(写真右)。これぐらいの色が出るくらいまで漬け込んだら完成です。

「漬け込み中は1日1回瓶を軽く振って、全体をなじませてください。なお、ハーブが空気に触れることで雑菌が繁殖しないように蓋の開閉は極力控えましょう。ガラス瓶には作った日が分かるようにマスキングテープなどを使って日付を書いておくと便利です。」(八木さん)


(4)完成したら網目の細かい茶漉しを用いて濾します。
濾した後に残ったハーブは捨てずにもうひと仕事。洗濯ネットやお茶パックに入れて入浴剤代わりにお風呂に浮かべて香りに癒されて。




完成したハーブチンキは、消毒した小瓶などに移し替えて保存します。作成に使った瓶で保存しても構いません。冷蔵庫などの冷暗所で保管すれば、作成から1年間ほどは持ちます。


ハーブチンキに用いるハーブは、水分のないドライのほうがアルコール量も一定で作ることができるので便利ですが、フレッシュ(生)でももちろん作ることができます。フレッシュの場合には、水洗いをして水気を拭き取ってから35度以上のアルコールをハーブが浸るくらい注ぎます。フレッシュで作った場合も同様に冷蔵庫で1年間ほど保存可能ですが、香りの変化や瓶や蓋にカビが発生していないかを確認しながら使用してください。

今回使用したハーブの効能を八木さんに教えていただきました。

-----------------------

■ヒース
ヘルスケアだけでなく、花は染料に、木は肥料にと毎日の暮らしに幅広く活用されてきた植物。花で淹れたハーブティーはミネラルを豊富に含み、泌尿器を浄化してくれます。そのため、膀胱炎や尿道炎などの感染症のほか結石の予防に役立てられています。また、アルブチンには美白効果もあり、シミ・そばかすなどの色素沈着やニキビに内用、外用として用いられています。

■ラベンダー
古代ギリシャでは、怒りを鎮めて体と心を浄化する薬用ハーブとして重用されていました。ハーブティーは不安や不眠に、入浴剤は自律神経失調症に、ハーブチンキは傷の治癒や神経痛などに使われています。

■ローズマリー
古くから若返りのハーブとして知られていて、和名の「万年郎」は「永遠の青年」という意 味があります。血液の循環を良くして血管を強くしてくれるので、心身の活力を高め、体の中からも若返る効果が期待されています。

■ローズヒップ
⾧い間、野生のローズヒップは農村の人々にとって貴重なビタミンC源でした。ローズヒップには、レモンの約10~20倍のビタミンCが含まれているといわれていて、メラニンの働きを抑えるコラーゲンの生成にも欠かせないため、美肌効果が期待できます。他にも、酸化の原因である活性酸素の働きを抑えるビタミンEが含まれているので、肌や血管のアンチエイジング効果も期待できます。

-----------------------


使用したハーブはHERB MEISTER CENTERでブレンドして販売しています。
・【HMCハーブクラフト】アフターサンケアブレンド




ハーブチンキを使った化粧水で
日焼けした肌をクールダウン

完成したハーブチンキで自然派の化粧水を作ってみましょう。今回使用しているハーブの中でもローズヒップは、ビタミンCたっぷりで鎮静作用の効果が期待できます。
シンプルな素材なので、日焼け後のほてった肌にも。グリセリンにより保湿効果もあります。


■化粧水
【材料(100ml)】
ハーブチンキ 小さじ1
グリセリン 小さじ1
精製水 90ml

※その他、保存用のスプレー容器などをご用意ください。

【作り方】


(1)先にハーブチンキとグリセリンを容器に入れ、よく混ぜ合わせます。そこに精製水をゆっくりと注いで、よく混ぜ合わせて完成です。

「お好みで精油を加えても。精油はリラックス効果が期待できるラベンダーや鎮静作用が期待されるフランキンセンスがおすすめです。精油は成分がかなり凝縮されていて1、2滴で十分に香りますので、加える場合は5滴までとしてください。」(八木さん)


(2)完成した化粧水はスプレー容器などに移し替えて保管します。
冷蔵庫などの冷暗所で保管し、1~2週間を目安に使い切ってください。使用する際はスプレー容器をよく振って混ぜ合わせてからお使いください。




精油を加えて
虫よけスプレーに

キャンプや登山など、アウトドアライフを楽しむ時にマストで携帯したいのが虫よけスプレー。ハーブチンキに虫よけ効果のある精油をプラスして、天然の虫よけを手作りしてみませんか。

■虫よけスプレー
【材料(50ml)】
ハーブチンキ 小さじ1
精油(レモングラス…4滴、ゼラニウム…4滴、シトロネラ…2滴)
精製水 45ml

※お肌が弱い方は、精油の量を上記の半分にしてください。
※その他、保存用のスプレー容器などをご用意ください。

【作り方】
作り方は、化粧水を作る流れと同じです。
ハーブチンキに精油を加え、よく混ぜます。その後、精製水を加えてよくかき混ぜ、スプレー容器に移したら完成です。

※虫よけスプレーは化粧水と同じく、冷蔵庫などの冷暗所で保存し、1~2週間を目安に使い切ってください。使用する際はスプレー容器をよく振って混ぜ合わせてからお使いください。

※ハーブチンキはアルコール分を含みます。化粧水、虫よけスプレー共に、アルコールアレルギーがある方、小さなお子様や皮膚が弱い方などが使用する場合はパッチテストをし、体質や体調をみながら使用しましょう。

使用した精油はHERB MEISTER CENTERでも販売しています。
・レモングラス
・ゼラニウム
・シトロネラ

ハーブチンキは、スキンケアや虫よけ以外にも、マウスウォッシュにしたり、水やお茶などの飲み物に数滴(1~5ml)入れて飲んだりと様々な使い方が楽しめます。

天然のハーブの爽やかな香りに癒されて、これからの季節を快適に。



HERB MEISTER CENTER(ハーブマイスターセンター)
自然と調和した暮らしをテーマにハーブ本来の風味、香りを大切に美味しいブレンドハーブティーを作る農薬不使用ハーブティー専門店。
店舗には100種類以上のシングル・ブレンドのハーブティーのほか、オーガニック精油、アロマクラフト用品をラインナップしている。

【住所】東京都練馬区桜台1-41-2
【電話番号】03-6676-1608
【営業時間】11:30~16:00
【定休日】月曜日・火曜日

ONLINE SHOP


八木 彩(ハーブマイスター)
「HERB MEISTER CENTER」にて、お客様の体調や希望に合わせてハーブを提案、ブレンドもしてくれるハーブマイスター。NPO法人日本ハーブ振興協会認定「プロフェッショナルアドバイザーオブハーブ」の資格を持ち、季節のハーバルケアや暮らしのハーブ活用法などを講座やSNSで配信。

2022年4月29日公開