ヘルシーな「よもぎ茶」と「よもぎスコーン」のレシピ

色とりどりの植物の新芽が次々と顔を出す季節。
幼いころ、春に近所の公園や土手を散歩して、よもぎを見かけたことはありませんか?
野草の一つであるよもぎは、古くから薬効が知られ、体内にたまった毒素や老廃物を外に出す働きがあるといわれています。


やわらかな若葉は香り高く苦味が少ないので、お茶やお菓子の材料として楽しむことも。
自然から少しおすそ分けをいただく気持ちで必要な分だけ摘み取り、春ならではの味覚を手軽に味わってみませんか。
初めてでも挑戦しやすいよもぎのレシピを料理家の江口恵子さんに教わりました。



清々しい香りのよもぎに
緑茶をブレンドして

3~5月に旬を迎えるよもぎは、北海道の一部から沖縄まで広く分布する野草です。

「とても身近なジャパニーズ・ハーブですよね。よもぎを摘むときは道端を避けて、土手や河川敷などに自生しているものを選びましょう※。製菓材料のお店などでは、乾燥パウダーのほか、よもぎを煮てから乾燥させた固形状のものも入手できます」と江口さん。

※よもぎに似たブタクサやトリカブトなどの毒草もあります。葉の形や香りが異なりますが、自生しているものを採る際には十分注意してください。

はじめに教えていただいたのは、よもぎ茶のおいしい淹れ方。春ならではの清々しい香りが楽しめます。

■よもぎ茶
【材料(約4杯分)】
よもぎ(乾燥させたもの)・・・2g
茶葉(緑茶またはほうじ茶)・・・1g

「よもぎだけでお茶を作る場合もありますが、緑茶やほうじ茶をブレンドすると、飲みやすくおいしくなりますよ。よもぎと緑茶の割合は2:1が目安です」(江口さん)

【淹れ方】

(1)ポットによもぎと茶葉を入れて熱湯を注ぐ。

「市販のよもぎ茶や乾燥よもぎを使うと手軽ですが、生のよもぎから作ってみるのもいいですね。生のよもぎを使う場合は、水できれいに洗った後、水気をしっかり拭き取り、ざるなどに重ならないように並べて、天日干しします(水分が抜けるまで。2~3日程度が目安)。その後、フライパンで焦げないように弱火で5分程度乾煎りして完成です。湿気に弱いので、保管する場合は冷めてから密閉容器に入れてくださいね。」(江口さん)

(2)2~3分蒸らしてからカップに注ぐ。

よもぎの風味がふんわりと香る、優しい味わいに。緑茶とブレンドすることで癖がなく、まろやかな味わいになります。

■市販のよもぎ茶


・山年園「よもぎ茶」
無農薬栽培の国産よもぎを使った、自然派のよもぎ茶。
楽天市場



・オーサワジャパン「よもぎ茶」
徳島産の自生よもぎを使い、ティーバッグで手軽に楽しめるよもぎ茶。
楽天市場




素材の風味が生きる
よもぎのスコーン

よもぎを使ったお菓子といえば草餅が思い浮かびますが、今回は少し趣向を変えて洋風のレシピをご紹介。お子さんと一緒に作ってみるのも楽しいかもしれません。

「スコーンは、スポンジケーキやシュークリームなどと比べて失敗が少なく作ることができます。今回は、刻んだよもぎを使って、より素材を生かしたレシピをご紹介します」(江口さん)


■よもぎのスコーン
【材料(6個分)】
A.
薄力粉・・・100g
強力粉・・・100g
きび砂糖・・・35g
ベーキングパウダー・・・3g

バター・・・40g
プレーンヨーグルト・・・60g
牛乳・・・20g

よもぎ(茹でて絞ったもの)・・・40g
※粉末のよもぎパウダーを使用する場合は12g
重曹(よもぎを茹でる際に使用)・・・小さじ1/4

桜の塩漬け・・・6個


【作り方】
(1)ヨーグルトと牛乳は予め混ぜておく。バターは1cm角に切り、冷蔵庫で冷やしておく。

「水分のあるヨーグルトと牛乳の2つを先に合わせておくと、あとで粉と混ざりやすくなります。バターは事前に細かく切っておくことが大切。このひと手間で仕上がりに差が出ます。」(江口さん)


(2)よもぎは、重曹小さじ1/4を入れたたっぷりのお湯で茹でて、水にさらす。しっかり水気を絞って細かく刻む。

「よもぎは、沸騰したお湯に入れて、再沸騰してから5分ほど茹でます。春の若葉の場合は3分ほどでも大丈夫です。」(江口さん)

(3)A の材料をボールに入れて、ゴムベラでよく混ぜる。

(4)(3)のボールにバターを入れ、ゴムベラを使って切るようにして混ぜていく。バターが米粒状になったら、手を使ってすり合わせるようにして砂状にする。

「バターのまわりに粉をまとわせるイメージで混ぜます。手を使う工程では、ダマがある場合は指先でつぶします。バターが溶けないよう手早く作業すると、サクッとした食感に仕上がりますよ」(江口さん)

(5)(4)のボールに、牛乳とヨーグルトを混ぜたもの、よもぎを加えてゴムベラで切るようにさっくりと混ぜる。右の写真の状態くらいにある程度まとまったらOK。

(6)生地をラップで包み、ぎゅっと手で押し、ひとつにまとめる。
ラップの上から麺棒で10×15cm程度の大きさ、均一の厚さになるように伸ばす。伸びたものを半分にカットして重ね、先ほどと同じ大きさになるように伸ばす。この工程を2~4回ほど繰り返す。

「ラップを長めにとって生地を包み、ラップの左右の端をくるくると折り込んで、生地が伸びたときの壁になるようにします。包んだ時のラップの大きさを10×15㎝にしておくと伸ばしやすいです。
麺棒は転がすのではなく、上からプレスするように。生地を何度か重ねることでスコーンに層ができます」(江口さん)


最終的に10×15cm程度の長方形で、均一な厚さに整える。

(7)生地を6 等分にカットして、表面に艶だしの牛乳(分量外)を塗る。塩を洗い落とした桜の塩漬けを乗せてオーブンの天板に並べる。170 度に予熱したオーブンで20~25分焼いて、できあがり。

「よもぎの風味や香りをより楽しめるよう、表面には卵ではなく牛乳を塗ります。桜の塩漬けを乗せるとほのかな塩味が加わって奥行きのある味わいになりますよ」(江口さん)


サクッとした食感に、素朴なよもぎの香り。やさしい甘さでほっと心が和むおいしさです。

「泡立てた無糖の生クリームと小倉餡を添えるとさらにおいしいです。スコーンは、一つずつラップに包んで冷蔵庫で保存すれば、3~4日は日持ちしますよ。食べるときはオーブントースターなどで温めるのがおすすめです」(江口さん)

自然の恵みを味わう、よもぎのティータイム。
おうち時間に楽しんでみてはいかがでしょうか。



natural food cooking/ORIDO 江口恵子(料理家・フードスタイリスト)
雑誌、広告、WEB、食品メーカーのレシピ提案、料理撮影に携わる。また、料理教室、ケータリング、カフェ、とあらゆるシチュエーションで野菜たっぷりの美味しくて体に優しい料理を伝えるべく活動を続けている。

『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)
『子どもと一緒に季節の食しごと&保存食』(マイナビ出版)

natural food cooking
ORIDO

2022年3月25日公開