押し花の簡単な作り方と素敵な使い道

花屋さんで出合った色鮮やかなブーゲンビリア、道の傍らで見つけた黄色のハハコグサ、庭で摘んだ可憐なスミレ……。私たちの身のまわりには個性豊かな植物がたくさんあります。おうち時間にゆっくりと、初夏の草花を集めて押し花を楽しんでみませんか。



生花の美しさをそのまま
色とりどりの押し花に

散歩中に摘んだクローバーを本の間にそっと挟んで……。誰もが子どもの頃に一度はやったことのある押し花。今回は、そんな押し花のつくり方と、気負わずにできるアレンジ方法をご紹介します。

まず、用意するものは、お好みの草花とティッシュペーパー、新聞紙、挟む用の書籍。

ピンセットと市販の押し花シートもあると便利。押し花シートは、シリカゲルなどを加工して作られた吸収性にすぐれた乾燥シートのこと。ホビーショップなどで入手することができます。押し花シートを使うと、短い時間で水分が抜けるので、きれいに仕上がります。

花を選ぶ際のポイントとして、厚みがあるものは水分が抜けにくいので、全体的に薄いものが向いています。また、白い花びらのものは茶色に変色しやすいので、好みに合わせて選びましょう。

注意したいのは押し花にするタイミング。生花を押し花にするのにもっとも良いタイミングはお花がきれいに咲いた状態。ピークを過ぎた状態で押し花にすると、傷や変色など仕上がりに影響が出ます。また、水分を吸った状態で乾燥させた方が、生花の時の美しさを保つことができます。摘み取ったあとはなるべく時間を置かずに押し花にしましょう。時間が経ってしまった場合は、一度花器に入れて水を吸わせてからはじめます。




紙と本に挟んで。
後はできあがりを楽しみに

それではつくってみましょう。
まず、新聞紙の上にティッシュペーパーを広げます。その上に草花を、完成形をイメージしながら置いていきます。


ティッシュペーパーを上からもかぶせ、新聞紙に挟みます。コート紙などの水分を吸いにくい紙は避けて、新聞紙を使うのがおすすめです。


挟んだあとは、上から静かにぎゅっと手で押さえてから書籍に挟みます。図録や写真集など、大判でページ数のあるものが向いています。さらに上から重しになる本を乗せます。重量の目安はおおよそ5kgほど。植物の種類にもよりますが、1週間ほどで押し花ができ上がります。



暮らしのインテリアに生かす
手軽なアレンジのアイデア

1週間ほど経ったら挟んだ書籍をそっと開いてみましょう。ふだんは上から眺めることの多い草花ですが、押し花にすると、花びらや葉、茎のかたちなどが新鮮に映ります。

「よく目にするけれど、名前は知らない……」。そんな草花についてこの機会に調べてみるのも楽しいかもしれません。お子さんと一緒に、身近な自然と触れ合う機会としても押し花はおすすめです。
調べた草花の名前を記載して、押し花の標本を作ってみても。


台紙に貼り付けてフレームに入れるだけで、手軽なインテリアグリーンに。同系色でまとめたり、色とりどりの花を散りばめたり。自然から生まれた色と形だからでしょうか、どんな組み合わせでもしっくりとまとまります。


フレームは、木枠や真鍮など種類によって雰囲気が変わります。自宅にあるものを使ったり、お好みで選んでみても。


台紙に貼り付けるときは、液体糊は避けましょう。押し花が糊の水分を吸ってしまい質感が変わってしまいます。
マスキングテープを細くカットして上から留めたり、両面テープで裏側を貼り付けるときれいに留めることができます。

飾るときは、退色を避けるため、直射日光の当たらない場所がおすすめです。


なかなか会えない人へのお手紙に押し花を添えても。季節感があり、心に残るお便りになります。

移りゆく季節の中で、いっときの自然の輝きを閉じ込めるような押し花。暖かな陽気に誘われてご近所を散策したり、これまで電車で移動していた道のりを少しだけ歩いてみたり。そんなとき、ふと目にする可憐な花々で暮らしに彩りを添えてみませんか。

2021年5月21日公開