むだなし料理
~ベジブロスと素材を味わうベジミネストローネ~

家で過ごす時間とともに料理を作る機会も増えた今。野菜の皮やへたなどが多く出て、捨てる度に「もったいないな」と感じることも増えたのではないでしょうか。それらを無駄にせずに活用する「ベジブロス」とそのアレンジレシピを料理研究家の野口英世さんに教わりました。
栄養たっぷりで、体にも心にも、そして環境にもやさしいベジブロス。休日の気分転換に作ってみるのもおすすめです。


野菜の旨味と栄養を余すことなく。
エコでおいしいベジブロス

ベジブロスとは、野菜(Vegetable)のだし(Broth)のこと。簡単に作ることができ、エコにもつながるサスティナブルなアイデア料理として注目を集めています。
では、早速作り方をご紹介します。

準備として、日頃から料理で余った野菜の皮やへた、わた、切れ端などを、土や汚れが残らないように洗って水けを拭き、ビニール袋にためておきましょう。

「使う野菜は、5種類ほど入るとバランスがよくなります。野菜の種類が少ないときは、パセリの茎やローリエなどのハーブを風味づけに利用しましょう。」(野口さん)

【おすすめの食材】
・玉ねぎやにんじんのヘタや皮
・セロリの葉
・長ねぎの緑の部分
・じゃがいもの皮
・かぼちゃのわたや皮
・かぶの皮やヘタ、茎部分
・アスパラの皮
・なすのヘタ
・きのこの軸
※注意:アブラナ科の野菜(キャベツやブロッコリーなど)やアクが強めの野菜(ゴーヤなど)が多いと苦みやえぐみが強くなります。使う場合には量を少なめにしましょう。そういった野菜を入れる場合にはじゃがいもなどの甘みのある野菜を多めに加えて、バランスをとりましょう。

今回はじゃがいもの皮、にんじんの皮、かぶのヘタと茎部分、玉ねぎの皮、セロリの葉と茎の部分を使用しました。まろやかな味わいに仕上がり、おすすめの組合せです。
玉ねぎの皮を使用すると、スープがきれいな飴色に仕上がります。

■基本のベジブロス
[材料]約900ml分
野菜(皮やヘタなど) 250g
水 1200ml
酒 大さじ1/2

[作り方]調理時間の目安:約40分(粗熱をとる時間は除く)


①大きめの鍋に野菜(皮やヘタなど)と水、酒を入れて中火にかける。


②ふつふつしてきたら、さらに弱火で20〜30分煮る。
「沸騰した状態で煮るのはNGです。弱火で煮て、野菜を煮くずれさせないようにしましょう」(野口さん)


③30分煮た後の状態。火を止めてそのまま粗熱を取る。


④③をざるで漉せばベジブロスの出来上がり。


密封容器に入れて、冷蔵庫で3~4日、冷凍なら3週間を目安に使い切りましょう。



寒い日にほっと温まる
ベジミネストローネ

「ベジブロスは野菜の旨味や甘みが溶け込んだやさしい味わいなので、カレーやシチュー、お味噌汁、炊き込みご飯など幅広くアレンジできます」(野口さん)

ベジブロスのおいしさがより際立つアレンジとして、今回は塩味のベジミネストローネをご紹介します。化学調味料を使っておらず、味付けもシンプルなので、素材本来の旨みを堪能することができます。

■塩味のベジミネストローネ


[材料](2〜3人分)
基本のベジブロス 600ml
じゃがいも 1個
玉ねぎ 1/4個
にんじん 1/3本
セロリ 1/3本(茎の部分)
ベーコン(ブロック) 60g
レッドキドニービーンズ(水煮缶) 100g
※白いんげん豆や大豆、ひよこ豆の水煮缶でも、お好みの豆でどうぞ。
オリーブオイル 大さじ1
塩 適量

[作り方]調理時間の目安:約30分

①じゃがいも、にんじん、玉ねぎは皮をむいて1㎝の角切りする。セロリは筋をとり1㎝の角切りに、ベーコンは1㎝角のスティック状に切る。レッドキドニービーンズは缶汁を切っておく。


②鍋にオリーブオイルを入れて中火で熱し、レッドキドニービーンズ以外の具材を炒める。


③野菜全体に油が回ったら、ベジブロス、レッドキドニービーンズを加える。沸騰したら火を少し弱めて、蓋を少しずらすようにしてのせ、20分ほど煮る。


④途中で味を見て、塩で味をととのえたら出来上がり!


コンソメスープのようにしっかりとした旨みを感じ、野菜の食感を楽しめるスープができました。
「具材は季節のもの、お好みのものでどうぞ。同じサイズに切りそろえると火の通りが均一で食べやすくなります」(野口さん)

「ベジブロスの魅力は、環境にやさしいことはもちろん、使う野菜の種類や部位、組み合わせによって、毎回新しい味に出会えるところ。一年中出回っている野菜でも、旬の時期は味や香りが濃くなり、季節による変化も愉しみのひとつです。皆さんもお気に入りの味を見つけてみてはいかがでしょうか。」(野口さん)


野口英世(料理研究家・フードスタイリスト)
料理研究家、フードスタイリストとして、テレビや雑誌、新聞、広告などで活躍中。無理や無駄のない、作り手重視の効率的なレシピとスタイリングアイデアが人気となっている。近著は「turk フライパンクックブック」「使いやすい台所道具には理由がある」(共に誠文堂新光社)など。
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2020年12月18日公開