【2021春夏】富山に伝わる民族楽器の造形に魅せられ、生まれた「ささら」

※2021年春夏のカタログはこちら


檜の小さな板を連ねて結んだその楽器は、日本人の五感を刺激する懐かしい形と音をもっていました。

そこから生まれたgentenの新作「ささら」は、温かみとともに強い存在感のある佇まいに仕上がりました。



自然といのちの循環を尊ぶ、人々の祈りを伝える

富山県五箇山に伝わる田楽「こきりこ節」。艶やかな衣装をまとい、五穀豊穣を祈って舞い踊る人の手にはささらが握られています。
2021年のgentenは、「刱-HAJIME-」をテーマに富山に根付く文化や雄大な自然から着想した、五感を揺さぶるシリーズをお届けしています。

日本最古の民謡といわれる「こきりこ節」は富山の人々にとってかけがえのない伝統文化のひとつ。自然といのちの循環を尊ぶ、人々の祈りを描いています。


この民族楽器に詰め込まれた細工と構造の面白さ、造形の美しさを革で表現できないか。
そんな発想から「ささら」の制作が始まりました。




試作から商品まで一貫して手づくりという贅沢

最初は厚紙での試作から始まりました。細長く裁断した板状の厚紙をアーチ状に連ね、ボディになるやわらかい革を挟んでいく。理屈の上ではできそうだと図面を起こしてみることに。
gentenの工房には、木工クラフトの経験をもつバッグ職人がいました。

ピット鞣しの硬質な革で作られたハンドル部分はとても丈夫

ハンドル部分は木に見立て、ピット鞣しの硬質な革を採用。長い時間をかけて鞣すので芯までしっかりとタンニンが浸み込み、靴底にも適した革が得られます。
手作業で裁断し、貼り合わせ、厚みのあるしっかりとしたハンドルに。
通常は見えない革の断面が際立って見えるため、ふのりをしっかりと含侵させて滑らかに磨き仕上げます。



ボディは柔らかく、存在感のある牛革。タンニン鞣しとクロームフリーを掛け合わせて、しなやかさとコシを生むことで、しっかりとしたボディが出来上がりました。ヘリと底部にミシンをかける以外、この「ささら」はミシンを使いません。
一番の難関は、小さくカットして側面を丁寧に仕上げた革片たちを柔らかい革紐で連ね、楽器ささらを象徴する独特のアーチとボディのギャザーを絶妙に出会わせる工程。



165,000円(税込)。両端を折り込めばまた違った表情に。

ボディは立体裁断を行わずに、自然のなりゆきでできたバルーンのようなふくらみをそのまま生かしました。
既存のセオリーを打ち破る大胆な仕様を革職人の手作業でひとつずつ形にしていくと、柔らかさと力強さが見事に共存。
「ファーストサンプルができた瞬間は、うるっと視界がぼやけました。」(gentenデザイナー)




個性的なフォルムと質感なのに、なぜか懐かしい

初めて手にしたのになぜか懐かしい。シンプルなのに強い個性をもった「ささら」は、持つ人の個性を引き出す力を備えています。
まずは、その豊かな革のシルエットと量感。そして驚くほどになめらかなハンドルや柔らかなボディ、インナーバッグのスウェードの、その上質な手触りにもお気づきいただけると思います。


日本を代表する上質なピッグスエードのインナーバッグ。サブバッグを持たなくてもバッグ本体に十分な収納力があるので安心です。

さらに、じっと見つめていると、そこはかとないアフリカンテイストも。
自然のエネルギーが感じられるので、外出の時の気分も上がります。


量感のあるワンピースとあわせても、もっとカジュアルにデニムスタイルでも、自然にマッチする不思議な風合いの「ささら」。ご自身がまだ知らない新しい魅力やスタイルとの出会いもぜひお愉しみください。末永くそばに置いていただけましたら幸いです。

■経年変化について■
ヌメベージュのハンドル革は経年変化によってゆっくりとあめ色に近づいていきます。

黒のボディは大人の牛革。時ともにゆっくりと徐々に艶が増してきます。

■お手入れ■
ハンドル部分は汚れ止めがついていますが、気になる方はアメダスを。
ボディが乾燥してしまったら革用クリームで保湿をおすすめします。

※店頭販売は直営店限定となります。直営店はこちら

2021年2月19日公開

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