エシカルなものづくりから生まれた「エティコ」
自然の恵みであり、こだわって鞣している大切な革たち。gentenではムダなく生かすよう心掛けてはいますが、どうしても使いきれない細かなパーツが出てしまうことがあります。ご紹介するエティコは革を余さず使えるように工夫を凝らしたシリーズです。
Etico(エティコ)とはイタリア語で「エシカル(倫理的)」の意味。「エシカル消費」とは、買い物をするときに、自分だけではなく、人や社会、環境のことを考えて、よりよいものを選ぶことを言います。
「今、自分にできる小さなエシカルとは?」そこからデザインを発想し、より環境にやさしい革を選んで、生まれたのがエティコです。
革が循環するデザインで
大切な素材を生かしきる
バッグよりも小さくて、いくつものパーツの集合体である財布。もともとが小さなものだからこそ、デザインや構造上、部分的にカットした革は、使い道が限られて捨ててしまうことがほとんどです。
バイカラー仕様の「エティコ」は、見た目の美しさを保ちながらも、そんな小さなパーツを同じシリーズ内で循環するつくりにこだわりました。上のイラストのように、長財布の切り抜いたパーツを二つ折り財布の一部として、二つ折り財布の切り抜いたパーツを三つ折り財布の一部として活用することを考えました。裁断した革の使用を前提としたデザインは新鮮な試みでした。
長財布(写真下)でカットしたネイビーの革を、二つ折り財布(写真上)のスクエア部分に使用しています。単純なようで実は頭を悩ませたのが切り取る革のサイズ。配色のバランスを見ながら、縫い代も考えて、今のデザインに辿り着きました。
過去にシャフィークシャミール社のタンナーがgenten市ヶ谷店に来店した時の様子。ボルディーノやフレスコの革も手掛けるタンナーです。
インドのタンナーが手掛ける
オーガニックラフトのシープを採用
エティコでは、インドのシャフィークシャミール社が独自に開発しているオーガニックラフトという技術を用いたシープ(羊革)を使用しています。
オーガニックラフトは、クロムなどの金属は使用せず、タンニン鞣しと同じように植物で鞣しています。さらに鞣しで使う水の量を削減し、水の汚染の少ない天然成分由来の染料を使用。とても環境にやさしい革です。
使用しているシープはヘアシープなので、やわらかさがありながらも、適度な銀面(表面)の強さがあり、パウダリーな触感も魅力です。内装にはカーフを使用していて、触れたときになめらかな手触りです。
細部へのこだわりが
デザインの調和を生み出す
普段気づきにくい部分ではあるのですが、実はデザインの要となっている糸。使用する革の色に合わせて、複数の糸を使い分けています。今回、バイカラー仕様ということもあり、糸の色を相当こだわって選びました。
内側の細かなところですが、革の切り替えに合わせて、糸の色を変えています。縫うときに手間はかかりますが、仕上がりの美しさが変わってきます。
また、スクエアなカッティングの周囲には他より太番手の糸を使用し、縫い幅をゆったりとることでアクセントを効かせています。
左上から時計回りに三つ折り財布、薄マチ長財布、二つ折り財布、ラウンドファスナー長財布です。
個性の異なる
2色・4型をラインナップ
キャメルとネイビーの2色、それぞれ4型をご用意しました。
キャメルは、スモーキーな茶系のバイカラーで温もりを感じるやさしい色味。手元にエレガントさを演出します。
ネイビーは、ビリジアンと呼ばれる青緑色とのマッチング。どこかレトロモダンな印象の組み合わせです。緑はお客様からのご要望が多い色で、以前ご紹介したフレスコでも好評でした。
ラウンドファスナー長財布20,900円(税込)
お札と小銭、カード、レシートなど、すべてを見渡せるつくりで収納力もたっぷり。片マチ仕様で口開きが良く、機能性にもこだわりました。
薄マチ長財布16,500円(税込)
横から見るとこの薄さで、とてもスマート。
お札やカードを取り出しやすいマチ付き。薄く、シンプルにするために、小銭入れは外側につけ、フラップで蓋をする形にしました。ワンタッチで開くと、小銭まで一度に見渡せます。
二つ折り財布15,400円(税込)
スナップボタンで開閉するタイプの二つ折り財布。コンパクトなバッグとも好相性で、ボックス型の独立した小銭入れ付きです。
三つ折り財布13,200円(税込)
必要な機能をきゅっと詰め込んだ三つ折り財布は、アウターのポケットにもすっきり収まるサイズ感。コンパクトながらお札と小銭、カードがすべて入ります。
お気に入りのデザインのモノを持つと、それだけで毎日が少し幸せな気分になります。そのモノが環境にやさしい、エコなモノだったら? ものづくりの背景を知ることで、自分が選んだモノをもっと好きになっていただけたら幸いです。
■エティコのお手入れについて■
パウダリーな肌触りのシープ(羊革)を使用しています。お使いいただくうち、エイジングによって色がわずかに淡くなっていき、次第に艶が出てきます。
財布の横に置いた2枚の革は、手前側の半分にだけ陽を当てて経年変化のテストをしたものです。
デリケートクリームなど、gentenのクリームがお使いいただけますが、まず目立たない内側などで試してからご使用ください。シープ(羊革)は水に強い革ではないので、あらかじめ防水スプレーを使うことで水染みなどが気になりにくく、汚れを防止することにもつながります。
2020年11月13日公開