簡単、晴れやかなお正月支度

作り慣れない料理が多く、敬遠されがちなおせち作りですが、実はさっとできる簡単な料理も多いんです。新しい年に思いを馳せながら手を動かし、自分好みの味に仕上げられるのも手作りならでは。今回は、年末年始の忙しい時期でも簡単に作れるおせちのレシピと、重箱や塗り皿がなくてもできる、華やかな盛りつけのポイントを、料理家の和田千奈さんに教えていただきました。

ひとつひとつは簡単なおせち料理。
手づくりで自分らしいお正月

おせち料理は、もともとは五節句などの季節の変わり目に「御節供(おせちく)」として、神様にお供えしていました。江戸時代に庶民の間にもこの風習が広まり、一年の節目となるお正月にふるまわれる料理を、おせち料理と呼ぶようになったそうです。

「お重にきれいに詰められたおせち料理を見ると、なんだか難しそうな印象を持つかもしれませんが、ひとつひとつはとてもシンプルなお料理。家で簡単に作れるものも多いので、今回はワンプレート風にアレンジしました。今年はぜひ、ひとつでもいいので作ってみてください」(和田さん)

■ワンプレートおせち
・三種の手まり寿司
・黒豆のマスカルポーネ白和え
・簡単栗きんとん
・紅白なます
・伊達巻き、かまぼこ、昆布巻き、酢れんこん(以上、市販品)

三種の手まり寿司

[材料]2人分
寿司酢(作りやすい分量)
   米酢 大さじ4
   砂糖 20g
   塩 7g

ごはん 300g
寿司酢 大さじ1と1/2
刺身(まぐろ、サーモン、鯛) 各適量
いくら、すだち お好みで

[作り方]
1 炊きたてのごはんをボウルに入れ、分量の寿司酢を全体にまわしかけ、しゃもじで上下を返しながら粗熱を取る。
2 ラップの上に寿司だね(刺身)を置き、ごはんを50gずつのせ、茶巾のように絞って手まり寿司を作る。器に盛り、お好みでいくらやすだちを飾る。
POINT おせち料理は味の濃いおかずが多いので、塩気が穏やかなすし酢の割合にしています。


ラップに寿司だね、酢飯の順にのせてキュッと包み、丸く形を整えます。

黒豆のマスカルポーネ白和え

[材料]作りやすい分量
黒豆(市販品でもよい)80g
生ハム 2枚
マスカルポーネチーズ  50g

[作り方]
1 黒豆はざるにあけて汁気を切り、生ハムは細かく刻む。
2 ボウルに①の黒豆、生ハムを入れ、マスカルポーネチーズを加えて混ぜ合わせる。


おせちの定番の黒豆が、生ハムの塩気とチーズのコクで白ワインに合う1品に変身します。

紅白なます

[材料]
甘酢(作りやすい分量)
   昆布出汁 50ml
   酢 50ml
   砂糖 20g
大根、にんじん 各適量
ゆずの皮(せん切り) 適量

[作り方]
1 大根とにんじんは皮をむいてせん切りにして、3%の塩水(水200mlに対して小さじ1)に浸す。約10分おいてしんなりしたら、水気をぎゅっと絞る。
2 ①を保存容器に移し、甘酢を加える。くらいおくと味がなじんで食べごろに。器に盛り、ゆずの皮を散らす。

簡単栗きんとん

[材料]作りやすい分量
栗の甘露煮 10〜15粒
さつまいも 250g
A 砂糖 25g
A みりん 40ml
A 水 40ml
A 甘露煮のシロップ 40ml

[作り方]
1 栗の甘露煮はシロップをきる(シロップは取っておく)
2 さつまいもは皮をむいて水にさらして水気を切り、ゆでる。やわらかくなったらざるにあけて湯を捨て、再び鍋に戻し、Aを加えてさつまいもを潰しながら弱めの中火で練る。(水分が少なくなってきたら火を弱める)このときに塩(分量外)をほんの少し入れると味が締まる。
3 ②に①の栗を入れて混ぜ合わせる。


瓶詰やパックになっている市販の甘露煮を使用。「くちなしで着色をせず、さつまいもは裏ごししないので、手軽で素朴でお芋感のある仕上がりに。少し粗めに潰すことでほくほくとした食感が楽しめます」(和田さん)



普段使いのお盆と小皿を
上手に使ってお膳風


おせち料理は「おめでたいことが重なるように」という願いを込めて、重箱に盛りつけるのが一般的です。地域によって違いはありますが、何段目に、どの料理を盛りつけるかにも、ひとつひとつ意味があります。

今回は、少し肩の力を抜いて、普段から使っている木のお盆と、家にある小皿や豆皿を使ってワンプレート風に盛りつけるポイントを和田さんに教わりました。

「料理同士の味が混ざる心配もないし、片付けも簡単です。重箱に盛りつけたおせちの種類や量が減って、見映えがしなくなったときにの盛りつけ直しにも応用できます」(和田さん)


ワンプレートに料理を少しずつ、きれいに盛り付けるにはセンスやテクニックが必要ですが、小皿や豆皿、お猪口などを使えば、初めてでも失敗せずにメリハリのある盛りつけができます。


盛り付ける前に、お盆に器を並べて、どこに何を盛りつけるのかを先に決めます。「平らなお皿は手前に、深さや高さのある器は奥に置くと、バランスよく、美しく見えます」(和田さん)


 盛りつけが完成。ひとつひとつは普段使いの器でも、特別感のある華やかなワンプレートになりました。南天や裏白、はらん、笹の葉など葉物の飾りをプラスすることで、ぐんとお正月らしく。

簡単なものを1~2品でも手作りして、お気に入りの器を活かした盛りつけを楽しむことで、ライフスタイルに合わせたおせち料理が楽しめます。自分らしさを大切に、晴れやかな新年をお迎えください。

旬をいただく大人のお弁当 
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番外編「クリスマス気分の簡単スイーツ」



和田千奈(料理研究家)
食べることが大好きな両親のもとで、料理のコツや楽しさを学びながら育つ。大学卒業後は航空会社の客室乗務員として勤務。多忙な生活の中で食の大切さを改めて実感し、食を伝える仕事をしたいと決心する。退職後は料理教室アシスタントを経て独立。現在は、雑誌、ウェブ、書籍、企業販促用のメニューやレシピの開発、フードスタイリング、デモンストレーションを含む料理教室講師などを幅広く手掛ける。
著書に『時短!簡単!からだが喜ぶ魚の水煮缶レシピ』、『毎日 みそ汁 からだ改善レシピ』、『4つのスパイスだけで作れるカレーなレシピ』(以上、DIA Collection)など。
2Box Kitchen Studio 

2019年12月20日公開