gentenのエイジングギャラリー

年月を重ねるほどに、光沢が増して深い色合いに変化していくgentenのレザーバッグ。経年変化の愉しみは革製品を持つ醍醐味といってもいいでしょう。gentenのエイジングギャラリーでは、gentenスタッフが長年、大切に使ってきた革製品を写真で楽しんでいただく新企画です。それぞれのエイジングの美しさ、情趣溢れる佇まいをぜひ目で味わってみてください。

どんな持ち方でも体に寄り添う
野性味あふれるラクダ革バッグ


「デューン」2010年SS 愛用歴約7年

「もともと大きくてゴツめのバッグが大好きだったので、初めて見たときに、格好いい!と一目惚れしてしまいました」

こう語るコーディネーターの高田が持ってきてくれたのは、dan gentenの「デューン」のショルダーバッグ。縄文時代の土器や土偶などからインスパイアされたシリーズで、フリンジのようなハンドルが印象的です。素材には、世界的にも希少なラクダの革が使われています。

「使い始めは硬さもあって、馴染むまでは結構な長旅になりそうだなぁと思いましたが、毎日のように使うことで楽しみながら育てて、今では体の一部のようになっています。ラクダ革は繊維の詰まったタフな革なので、買ってからほとんどお手入れはしていません」

この企画のために、久しぶりにこのバッグを使ったという高田。ハンドルの握り心地や、バッグ本体を胸に抱えたときのやわらかさ、ひざの上に置いたときの馴染み具合など、どんな持ち方をしても自分に寄り添ってくれる心地よさを、再び味わうことができたといいます。時代を超越したインパクトのあるデザインは、街中や電車でも注目を集めたそう。

「流行り廃りとは次元の違う存在で、あらためて格好いい!と感じました。ハンドルを片手でガッと掴んで引き寄せるなど、少々、手荒に(笑)扱っても、動きがあってさまになるところも気に入っています。スタッフ仲間内では“出土品”と呼ばれているんですよ」



人生を共に歩んだ特別なバッグは
エイジングやシミも愛着の一部


「トスカ ヌオーバ」2009年AW 愛用歴約10年

鍵のモチーフやベルト使いが印象的な「トスカヌオーバ」は、gentenの定番シリーズ「トスカ」を構築的に変身させた2009年のシリーズ。商品企画部の岡崎は、当時のままにチャームをつけて持ってきてくれました。

「トスカはgentenの根幹となる企画です。このバッグは革の良さ、ミネルバボックスらしさがすべて表現されていて、自分もいつかこんな商品を世に送り出したいという当時の目標でもありました。毎日のように使って、海外出張にも持って行ったので、思い出は数えきれないくらい。当時はこんなふうに自分が手掛けたマペットチャームをじゃらっとつけて楽しんでいましたね」


天然のオイルをたっぷりと含んだミネルバボックスならではの、年月を重ねたときのシボの豊かな表情や透明感、くったりとしなやかな風合いから、長年愛用されてきたことが伝わってきます。

「エイジングやちょっとした傷、シミなどは革ならではの臨場感。共に人生を歩んできたという愛着の証だと思っています。こまめなお手入れはしていませんが、私は使うことがお手入れだと考えていて、まめに手で触れて、乾燥が気になったときにクリームをつけるようにしていました」

革は五感に訴える唯一無二の魅力を持つ素材。中でもミネルバボックスのもつ風合いは自然を体現している、と言う岡崎。「エイジングの素晴らしさや革の魅力をたくさんの方に知っていただけるように、もっともっと広めていきたいですね」



初期のカットワークが生み出す
木漏れ日のような光と影の景色


「カットワーク」2001年発売 愛用歴18年

企画室のデザイナー・佐伯が見せてくれたのは、gentenのブランド創設初期に販売されたカットワークのトートバッグ。抜型の中で最も大きなものを用いて1枚革を大胆に抜いたもので、現在も多くの方から愛されるカットワークシリーズの原点となったものです。

「先代のデザイナーが手掛けたもので、ノンセックス・ノンエイジな佇まいに心魅かれて手に入れました。レディースとして販売されたものですが、繊細な中にもどこか精悍さや大胆さが感じられて、潔くさっぱりしたデザインが気に入りました」


佐伯がこのバッグを購入したのは約18年前のこと。今でも毎年、初夏から真夏にかけて使っているといいます。あえてインナーバッグを使わずに、夏の強い日差しがカットワークを通して、木漏れ日のように影を落とす様子を楽しんでいるのだとか。

「持って歩くだけで、昔ながらの走馬灯や影絵のような情緒のある景色が見られるので、暑い季節に楽しめる革バッグです。ほどよい抜け感もあって、使っていて気分が良い。18年の間に、海外でスコールに遭ったり、日焼けしたりもしているのですが、夏限定で使っているせいか、軽く拭くだけでこの状態を保っています。牛脚脂がたっぷりしみ込んだ、健康な革ならではですね」

いかがでしたか。三人三様のエイジングの景色が垣間見えたことと思います。

gentenでは、愛着を持って長く大切に使っていただけるように、天然素材や昔ながらの技法を使って1つ1つの商品を作っています。耐久性に優れて環境に優しいことはもちろん、エイジングを重ねるほどに艶を纏った新たな表情が生まれ、肌に馴染むやわらかさや風合いも素敵に変化していきます。ぜひ、あなたのお気に入りも大切に育ててみてください。

2019年11月15日公開