旬をいただく大人のお弁当 晩秋

一気に秋冷の気配が訪れてきた今日この頃。今月は、秋が旬のきのこやれんこん、長芋などを常備菜にして、朝は詰めるだけのお弁当を、料理家の和田千奈さんに教わりました。肩の力を抜いたお弁当で、実りの季節ならではのおいしさを味わいましょう。

旬の秋野菜を常備菜にして
朝、詰めるだけのお弁当

過酷な夏を乗り越えて収穫される秋の野菜には、夏に疲れた体を元気にする力が宿っているといわれます。最近では多くの野菜が1年中手に入りますが、旬を迎えた食材は、おいしさも格別です。

「秋が旬の野菜は、味や香りが良くて栄養も満点。シンプルな味付けでも本当においしいんです。今回はいろいろな味を楽しめるようにバランスを考えました。秋の夜長に常備菜を作っておくと、お弁当作りが楽になります」(和田さん)


ピリ辛でコクのあるきのこのオイスター炒め、甘酸っぱいレンコンのはちみつ漬け、素朴で味わい深い長芋の味噌漬け。1つのお弁当でいろいろな味を楽しめます。

■秋の常備菜弁当
・きのこのオイスター炒め
・れんこんのはちみつ漬け
・長芋の味噌漬け
・栗の胡麻クリームチーズ和え
・にんじん、さつまいもの煮物(市販品でもよい)
・さんまの蒲焼ごはん(缶詰を使用)

きのこのオイスター炒め
[材料]作りやすい分量
きのこ(お好みのもの)200g
太白ごま油 大さじ1(なければ他の油でも)
しょうが(せん切り) 1片分
唐辛子(種を取り除く) 1本
オイスターソース 小さじ2
酒 小さじ2
しょうゆ 小さじ1/2
塩、こしょう 各少々

[作り方]
① フライパンに太白ごま油を中火で熱し、しょうが、唐辛子を入れて炒め、香りが立ってきたら、きのこを加えて炒める。
② きのこがしんなりとしてきたら、オイスターソース、酒、しょうゆを加えて炒め合わせ、塩、こしょうで味を整える。
<POINT>きのこは舞茸やしめじ、エリンギ、しいたけなどお好みのもので。複数組み合わせるとより香りや旨味も増します。保存期間は冷蔵庫で約5日間。

れんこんのはちみつ漬け
[材料]
れんこん 適量
マリネ液
    はちみつ 大さじ1
    酢 大さじ1
    塩 小さじ1/4

① れんこんは皮をむいて薄切りにして酢水にさらし、茹でる
② マリネ液の材料を混ぜ合わせ、①のれんこんを漬けて一晩おく。
<POINT>保存期間は冷蔵庫で約5日間。

長芋の味噌漬け
[材料]
長芋 適量
味噌床
    味噌 50g
    砂糖 20g
    酒 小さじ4

① 長芋のひげ根が気になる場合は、コンロの火で炙ってとり、縦半分に切って保存容器に合わせた長さに切る。
② 味噌床の材料を混ぜ合わせて保存容器に入れ、①の長芋を漬ける。
<POINT>皮付きのまま漬けたほうが香りが良いです。皮は食べるときにむいてもいいし、皮付きのままでもいただけます。漬けた後の味噌床は捨てずにお味噌汁にしたり、炒め物にも使えます。保存期間は冷蔵庫で約5日間。



素朴なおかずでも見映えよく
お弁当箱の上手な詰め方

常備菜のような素朴なおかずは、おいしいけれど彩りが地味になりがちです。バランスよく、おいしそうに盛り付けるポイントを和田さんにお聞きしました。

「おかずに色味が少ないときは、にんじんのオレンジ色、さつまいもやかぼちゃの黄色などをプラスするとアクセントになって、お弁当がパッと華やかになります。にんじんやさつまいもの煮物は市販品でもいいでしょう」(和田さん)


さつまいもの煮物、きのこのオイスター炒め、栗の胡麻クリームチーズ和えを詰めた後に、長芋の味噌漬けを立てかけるように盛りつけます。きのこのオイスター炒めは、ピーラーで薄く削ったきゅうり仕切り代わりにして、味が混ざらないように。


れんこんのはちみつ漬けは、時間があれば花形切りにするとさらに華やかに。にんじんの煮物はお弁当箱の中央と奥に分けて入れることで、彩りのバランスが良くなります。


おかずを全種類詰めた後で、バランスを見ながら量を調整します。


おかずの段が完成。にんじんやさつまいも、栗のおかげで彩りも豊かになり、立体感があって見映えのいいお弁当に仕上がりました。


さんまの蒲焼ごはんは、白いご飯を詰めて缶詰のさんまの蒲焼をのせて、白ごまを振っただけという手軽さ。秋の常備菜旬弁当が完成です。



桐箪笥職人が手掛けた
やわらかな曲線のお弁当箱

今回使用したお弁当箱は、紀州箪笥伝統工芸士の東福太郎さんとgentenのコラボレーションアイテム「桐二段お重」です。桐の柔らかな質感と軽さ、肌目の繊細さが感じられる特別なお弁当箱です。防虫、防腐効果のある柿渋が塗布されているので、使うほどに深みのある表情になるところも魅力的です。ぜひgenten monococoroでお手にとってみてください。

「桐二段お重」のONLINE SHOPはこちら


旬をいただく大人のお弁当
春の記事「春を味わう鰆と山菜のお弁当」はこちら
初夏の記事「黒米入り ちらし寿司弁当」はこちら
夏の記事「ハニーマスタードチキンサンド弁当」はこちら
処暑の記事「彩りそうめん弁当」はこちら
仲秋の記事「お月見弁当」はこちら



和田千奈(料理研究家)
食べることが大好きな両親のもとで、料理のコツや楽しさを学びながら育つ。大学卒業後は航空会社の客室乗務員として勤務。多忙な生活の中で食の大切さを改めて実感し、食を伝える仕事をしたいと決心する。退職後は料理教室アシスタントを経て独立。現在は、雑誌、ウェブ、書籍、企業販促用のメニューやレシピの開発、フードスタイリング、デモンストレーションを含む料理教室講師などを幅広く手掛ける。
著書に『時短!簡単!からだが喜ぶ魚の水煮缶レシピ』、『毎日 みそ汁 からだ改善レシピ』、『4つのスパイスだけで作れるカレーなレシピ』(以上、DIA Collection)など。
2Box Kitchen Studio

2019年10月18日公開