tenotsutae市谷店1周年記念企画 マキさんとつくる“私にちょうどいい”バッグ

genten tenotsutae 市谷店がオープンして1年が経ちました。これまでイベントでしかできなかったフルオーダーやカスタムオーダーがいつでもできて、職人が一つひとつ「手」でつくりだすバッグを実際に体験できる特別な空間です。

今回は1周年を記念した特別企画として、シンプルライフ研究家のマキさんに、フルオーダーのバッグづくりを体験していただきました。毎日取り替えるものでもなく、生活スタイルによって大きさやデザインが変わってくるバッグは、持つ人のスタイルが最も表れやすいものです。さて、マキさんはどんなバッグをつくるのでしょうか。


軽くやわらかな革が体になじむ
幅広いシーンで使えるバッグにしたい

毎日の暮らしのアイデアや思いを綴ったブログ、著書が人気のマキさん。シンプルに心地よく暮らすために「もっとこうしたら便利」、「これは必要ない」という明快な取捨選択が魅力です。シンプルに暮らしたいから、バッグの中身も最小限。そんなマキさんのアイデアやこだわりを詰め込んだ、フルオーダーのバッグづくりが実現しました。

――まず最初の打ち合わせでは、マキさんのイメージや「こうしたい」というご希望を聞いていきます。マキさんは革のバッグにどんな印象をお持ちですか?

マキさん:自分に似合った革のバッグを大切に使っている人は、それだけできちんとした、魅力的な大人として映ります。背景にライフスタイルへのこだわりが感じられるからでしょうか。

genten tenotsutae店長・尾山(以下、尾山):バッグは持つ人の世界観やライフスタイルが反映されやすいアイテムだと思います。gentenのバッグは、愛着を持って、長く使っていただけるように素朴でシンプルなものが多いですが、マキさんはどんな場面で使うことを想定していますか?

マキさん:背伸びをして持つのではなく、今の自分の暮らしやファッションにしっくりくる、ちょうどいいバランスのものにしたいですね。普段の仕事やお出かけ、ちょっとあらたまった場にも持っていける、品はあるけれど、シーンを選ばない万能なバッグが欲しいです。自転車に乗るときは両手をあけておきたいので、斜めがけできるショルダーバッグと、ハンドバッグのいいとこどりのような、2WAYで使えるものがいいですね。

素材は、体になじむような軽くてやわらかい革だと嬉しいです。ナチュラルレザーのバッグは、素敵だけれど、上手に経年変化させるのが難しそうとか、一度、傷をつけたらおしまい!みたいなハードルの高さを感じることもありますが、大丈夫でしょうか?

尾山:今回おすすめするバケッタレザーのミネルバボックスは、天然のオイルをたっぷり含んだ
革で、使えば使うほどツヤが増していきます。使う人のライフスタイルによって、経年変化の表れ方が変わってくるんです。ふだんのお手入れは拭くだけ。再生する力が強いので、少しくらいの傷なら目立たないし、それも味わいのひとつになっていきます。

マキさん:自分自身になじむように育てていくような感じでしょうか。自分でお手入れをして、経年変化を楽しみながら、5年、10年と長く使えるのだとしたら、少々お値段が張っても、長い目で見れば投資だと考えることができますね。


マキさんの希望を聞きながら、デザイナーがその場でラフスケッチを起こしていきます。

――仕事に使うということは、やはりA4が収まるサイズがいいですか?

マキさん:A4は入るほうがいいのですが、巷で売られているA4が入るバッグは、大きすぎると感じることが多いんです。書類が少しくらい斜めになったり、はみ出てもいいので、最大がA4サイズというイメージでしょうか。ファスナーで開閉するタイプは開きっぱなしになることが多いので、一瞬で閉じられるマグネット式のほうがいいですね。

尾山:内側のポケットは、どこに何を入れたいなどありますか?

マキさん:スマホが入るポケットがあればいいかな、くらいで、あまりこだわりはないんです。ポケットや仕切りが多いと一見便利そうですが、自由度が狭まるんですよね。マチも、お弁当箱は入る幅は欲しいですが、あまり広くなくていいです。マチが広いといろいろなものを放り込んでしまって、結果的に荷物が重くなってしまう。

尾山:フルオーダーのバッグは、お客様の希望で機能やポケットをどんどん追加していくケースが多いのですが、マキさんの場合は逆で、極力シンプルになるように機能を減らしていく。とても新鮮ですね。

マキさん:バッグって少しでも使いにくい、気に入らないところがあると、無意識のうちに使う頻度が減ってしまうんですよね。だから、ストレスになりそうなことは削ぎ落していきたいです。

それから、2WAYで使うシーンをはっきり分けたいので、ショルダーバッグとして使っているときはハンドルが見えないように、ハンドバッグとして使っているときはショルダーが見えないようにしたいです。

尾山:それなら、金具が表側に露呈しないような設計で、ハンドルやショルダーベルトの位置やつけ方も重要ですね。今回の打ち合わせを元に、仮の生地でサンプルを作るので、次回の打ち合わせで見ていただきましょう。次回までに革の色も決めていただければと思います。


サンプルでハンドルの長さ、全体の重さなどを鏡でチェック。ショルダーバッグはベルトの長さでフィット感が変わってくるので、何度もフィッティングしてベストな長さを探ります。ていきます。


カラーサンプルを見比べながらバッグの色を検討します。この時点では、マキさんはダークネイビーとチャの2色で迷っていました。




オーダーサンプルで
サイズや使い勝手を最終確認!

――最初の打ち合わせから約1週間。実際の革で仕立てる前段階の、布で作ったサンプルバッグが出来上がりました。

尾山:今回はサンプルでサイズ感などを確かめながら、細かい部分を決めていきます。

マキさん:大きさも形も、前回私がお伝えした通りになっていてすごい! 形になったものを見てみると、もう少しマチがあってもいいのかなと思いました。

尾山:そうですね。荷物を入れたときに、少したわみやゆとりができるほうが、革の表情の豊かさが伝わりやすいと思います。マキさんにご提案いただいた“荷物が入り過ぎない良さ”は保ちつつも、マチをもう少しとったほうが、このバッグの面白さ、特別感が出るかもしれません。

マキさん:それから前回は、A4ギリギリのサイズがいいと言ったのですが、A4のクリアファイルがはみ出すとどうしても生活感が出ますね。他の荷物も入れたときや、電車の座席で膝の上の置いたときを想像すると、もう少し縦の幅があったほうが品よく仕上がるような気がします。

また、ハンドバッグとして使うときに、ショルダーベルトをバッグの内側に入れ込むと、バッグを開いたときにごちゃごちゃして見えるのが気になりますね。

尾山:それなら内側に大きめのポケットを付けてみてはいかがでしょうか。普段はノートパソコンなども収納できて、そこにショルダーベルトも収まるようにするとだいぶスッキリします。同じようにハンドルもしまえるようにしましょう。

ところで、前回は革の色をダークネイビーとチャで悩まれていたようですが、どうしましょうか?

マキさん:家に帰ってからもよく考えたのですけど、お気に入りの茶色の靴があるので、それとコーディネートできるように、バッグも茶色に決めました

――この日は、ハンドステッチの糸の色や、裏地に使うの布も決定。あとは仕上がりを待つばかりとなりました。


genten tenotsutaeの職人も同席して、細かい仕様を決めていきます。


鏡の前でショルダーベルトの長さを入念に確認します。「冬に厚手のコートを着たときのことも考えたほうがいいですね」


「2WAYのうちショルダーバッグとして使うときは、ハンドルが外から見えないように」というマキさんの希望を叶えるために、ハンドルの設計にもこだわりました。


ほんの数センチの差で、バッグ全体の印象がガラッと変わってくるので、仕上がりをイメージしながら意見を交換します。




いよいよ完成!
ぴったり軽やか、ちょうどいいバッグ

2度の打ち合わせを経て、いよいよマキさんの2WAYバッグが完成です!


「ショルダーの長さも絶妙です! 自分の体にぴったり合うように作っていただけるオーダーバッグはやっぱりすごい」とマキさん。


ショルダーバッグでお仕事モードのときの持ち物。A4ファイル、ノートパソコン、手帳、スマホ、バッテリー、イヤフォン、財布、化粧ポーチ、ハンカチ。

持ち手は収納したときにも飛び出て来ないような仕立てになっています。

斜めがけはカジュアルで元気なイメージ。


ワンショルダーっぽく持てば、フェミニンにも。


休日、お出かけするときの荷物。お弁当箱、財布ポシェット、折り畳み傘、水筒、スマホ、化粧ポーチ、ハンカチ。

今回のこだわりのひとつ、内装のポケット。ハンドバッグとして使うときはショルダーをスナップ付きポケットにすっきり収納できます。反対にショルダーを使うときは、仕切りポケットとしてバッグの中を整理することができ、ここも2WAYになっています。

シンプルな仕立てで、会食やあらたまった席にもふさわしく。


お気に入りのスカーフを結んでイメージを変えることも。

マキさん:私が打ち合わせでふんわりとお伝えしたことも、きちんと汲み取っていただき、イメージ通りに仕上げていただきました。これも細やかな職人さんの技術力があってのことだと思います。いろいろ悩んだ結果、茶色にしてよかったなと大満足。色違いで4色くらい欲しいくらい(笑)。


お気に入りの靴との相性も抜群です。「色選びで迷ったときは、お気に入りの靴と合わせるのがおすすめ」(マキさん)


マキさんのシンプルに暮らすためのこだわりとアイデアが詰まったバッグは、スタッフ内でも「欲しい!」という声が多く、今回セミオーダーの定型モデルとして期間限定でラインナップすることになりました。詳しくはgenten tenotsutae 市谷店までお問い合わせください。

■マキさんとつくったシンプルな2WAYバッグ
genten tenotsutae 市谷店限定で受注・販売いたします。
【価格】47,300円(税込)
【素材】牛革

【サイズ】
・横幅(W):34cm
・高さ(H):26cm
・マチ(D):6cm
・持ち手:27cm
・ショルダーベルト:~100cm ※セミオーダーとして1cm単位で調整可能。マキさんは94cm。
・重さ:600g

【ポケット数】内部にオープンポケット×4

【カラー】5色からお選びいただけます。
・ヌメベージュ
・チャ ※マキさん使用色
・ノウチャ
・ネイビー
・カーキ
(下写真左から)


【商品の注文からお渡しまでの期間(目安)】
約2カ月 ※市谷の職人が製作するため、作業のタイミングで早くお渡しできる可能性もございます。お渡し期間はご相談ください。

マキ/シンプルライフ研究家
夫と長女(10歳)、次女(6歳)の4人家族。広告代理店に勤務するかたわら、ブログ「エコナセイカツ」を主宰。『ゆるく暮らす毎日がラクで気持ちいい、シンプルライフ』(マイナビ出版)、『しない家事』(すばる舎)、『虫のいい家仕事家事の嫌いな私のラクして時短!片付け&収納術』
(宝島社)など著書多数。
マキさんのブログ エコナセイカツはこちら

マキさんの過去の記事はこちら
前編:シンプルに暮らすことが自然にエコにつながる
後編:長く使える良質な物選びでシンプルに暮らす

2019年10月11日公開

genten tenotsutae 市谷店