旬をいただく大人のお弁当 処暑

日中は暑く朝晩が冷える、処暑。夏の疲れも蓄積して食欲もダウンしてしまう時季ですね。そんなときでも、ひんやり喉ごしの良いそうめんなら、おいしく食べられそうです。料理家の和田千奈さんに、そうめんをお弁当にするときのコツを教わりました。

気温差に疲れた体にもうれしい
彩り豊かなそうめんのお弁当

お弁当作りも毎日続くとワンパターンになりがちです。たまには目先を変えて、めん類のお弁当はいかがでしょうか。1人分ずつ束になっていて、ゆで時間が短くてすむそうめんは、実はお弁当におすすめの食材だそう。作り置きができるおかずや、朝にサッと用意できる具材をトッピングして、夏の疲れがたまった体にやさしいお弁当を、和田さんに考えていただきました。

「そうめんは、薬味とつゆだけだと、栄養が偏ってしまうのが気になりますね。そこで、卵や海老などのたんぱく質、この季節においしい夏野菜、乾物を利用した煮物をプラスすることで、栄養バランスも良く、いろいろな味や食感を楽しめるお弁当にしました」(和田さん)


具材はお好みで彩りよく。みょうがの甘酢漬けとしいたけ煮はどちらも作り置きができます。保存期間は冷蔵庫で約1週間が目安。この他、きゅうりやトマト、梅干し、ゆでた肉や油揚げなどもそうめん弁当のトッピングにおすすめ。

■彩りそうめん弁当
・そうめん
・みょうがの甘酢漬け
・しいたけの煮物
・ゆで海老
・ゆでオクラ
・錦糸卵
・すだち

みょうがの甘酢漬け
[材料]作りやすい分量
みょうが 5~6個
塩 適量
甘酢
   酢、水 各100ml
   砂糖 40g

[作り方]
① みょうがは根元を少し切り落とし、外側の皮が汚れていれば取り除く。縦半分に切り、さっとゆでてざるにあげ、塩をふる。
② 甘酢の材料を混ぜ合わせ、粗熱のとれた①のみょうがを3時間以上漬ける。
POINT 冷蔵庫で約1週間保存可能。

しいたけの煮物
[材料]
干ししいたけ 約5枚
煮汁
   だし 100ml
   干ししいたけのもどし汁 100ml
   砂糖 大さじ1と1/2
   みりん 小さじ2
   しょうゆ 小さじ4

[作り方]
① 干ししいたけはたっぷりの水(分量外)で、肉厚のもので半日~1日、薄めのもので約4~5時間もどす。軸は切り落とし、もどし汁は茶こしや網目の細かいざるなどで漉しておく。
② 煮汁の材料を鍋に入れ、水けをきった①のしいたけを入れて火にかけ、煮立ったら弱火で煮汁が少なくなるまで煮る。
POINT 冷蔵庫で約1週間保存可能。



そうめんは時間通りにゆで
つゆは凍らせて持っていく

そうめんのお弁当で心配なことは、めんがのびたり、くっついたりしてしまうこと。時間が経ってもおいしく食べるポイントを、和田さんにお聞きしました。

そうめんをお弁当に持っていくときのポイント
・そうめんは表示時間通りにゆでる
・ゆで上がったそうめんは、流水でしっかり洗うとくっつきにくい
・詰める前に、そうめんの水けをきちんときる
・そうめんは1口ずつ丸めて詰めると、めんがくっつきにくく、食べやすい
・つゆは凍らせて持っていくと、食べるころにちょうどいい冷たさに

そうめんをおいしく食べるには、時間を短縮したり、延ばしたりせず、表示時間通りにゆでることが大切です。ゆで上がったら、氷水にサッとつけて短時間で冷やすことで、それ以上火が入るのを防ぎます。さらに、流水でもむように、しっかり洗うことで、表面のでんぷん質が取れるので、くっつきにくくなります。

「洗ったそうめんの水けをしっかりきることも大切なポイント。水けが残るとめんが水分を吸収してのびやすくなります。衛生面でも余分な水分は残したくないので、底面積が広いザルを使用したり、上からやさしく押さえるなどして、水けをきりましょう。キッチンペーパーで余分な水分を取るのもおすすめ」(和田さん)

お弁当箱にそうめんを詰めるときは、一口ずつ丸めておくことで、めんが絡んだり、くっついたりせず、食べやすくなります。「丸めない場合は、お弁当箱に詰める前に少量のオイルを絡めておくか、食べる直前にめんつゆでほぐしたり、すだちを絞ってほぐすと香りづけにもなります」(和田さん)


そうめんはフォークとスプーンを使って、一口分ずつ丸めてお弁当箱に詰めると、くっつきにくくなります。


野菜不足になりやすいそうめんには、ゆでたオクラをプラス。水けが出にくく、斜めにカットすることで彩りのアクセントになります。


すだちを添えます。食べるときに絞ると香りづけや爽やかな酸味がアクセントになり、さっぱり食べられます。ビタミンCやクエン酸も豊富なので、夏バテ防止にもおすすめ。レモンなど他の柑橘類でも。


みょうがの甘酢漬けは、漬け汁をきって詰めます。お弁当のアクセントにはもちろん、まぜ寿司の具にしたり、冷ややっこや焼き魚に添えるなど、幅広く使える作り置きおかず。みょうがの出回る季節には、作っておくと重宝します。


丸めたそうめんの上に錦糸卵を飾ります。


スライスしたしいたけの煮物とゆで海老をそうめんの上に飾ります。違う具材を交互にのせることで、見映えも豪華になります。


つゆは密封容器に入れて、冷凍庫で凍らせて持っていきます。持ち運び中は保冷材の代わりになり、食べるころにはほどよく溶けて、冷たくておいしいそうめんをいただけます。ジャムなどの空き瓶でもOK。


彩りそうめん弁当の完成。お好みで青のりを振りかけるとさらに風味がよくなります。

作り置きできる野菜のおかずや、朝にサッと用意できる具材をトッピングすることで、夏の定番のそうめんも華やかなお弁当に代わります。お弁当というと、ごはんやパンのイメージがありますが、めんも加わるとバリエーションが広がります。暑い季節もさっぱりといただける、そうめんのお弁当で、季節の変わり目に疲れた体をいたわりましょう。

旬をいただく大人のお弁当
春の記事はこちら
初夏の記事はこちら
夏の記事はこちら



和田千奈(料理研究家)
食べることが大好きな両親のもとで、料理のコツや楽しさを学びながら育つ。大学卒業後は航空会社の客室乗務員として勤務。多忙な生活の中で食の大切さを改めて実感し、食を伝える仕事をしたいと決心する。退職後は料理教室アシスタントを経て独立。現在は、雑誌、ウェブ、書籍、企業販促用のメニューやレシピの開発、フードスタイリング、デモンストレーションを含む料理教室講師などを幅広く手掛ける。
著書に『時短!簡単!からだが喜ぶ魚の水煮缶レシピ』、『毎日 みそ汁 からだ改善レシピ』、『4つのスパイスだけで作れるカレーなレシピ』(以上、DIA Collection)など。
2Box Kitchen Studio

2019年9月6日公開