旬をいただく大人のお弁当 夏

暑い季節は、できるだけキッチンに立つ時間を短くしたいもの。今月は、作り置きできる食材で、朝は火を使わずに作れる、ボリュームたっぷりのサンドイッチのお弁当です。料理家の和田千奈さんに、暑い季節でも傷みにくい食材の選び方や、具材をはさむコツ、ラッピングの仕方などを教わりました。朝食や休日のブランチにもぴったりです。

作りおきできる食材を活用した
朝にがんばらないサンドイッチ

今月のテーマは、作りおき食材を活用した、朝、火を使わずに作れるお弁当。作りおきできるハニーマスタードチキンを挟んだ、ボリュームたっぷりのサンドイッチと、同じく作りおきOKのアスパラガスのハーブマリネを組み合わせました。

「夏の作りおきやお弁当作りは、殺菌作用や防腐作用のある食材を効かせることがポイントです。たとえば、ハニーマスタードチキンに使用しているマスタードの辛み成分には殺菌作用があるし、マリネに使っているビネガーやタイムには防腐作用があります。夏は野菜が傷みやすいので、アスパラガス以外の野菜もマリネにして保存しておくと便利」(和田さん)


サンドイッチの具材のとなるハニーマスタードチキンと、副菜のアスパラガスのハーブマリネはどちらも作りおきができます。保存期間は冷蔵庫で3~4日が目安。

■ハニーマスタードチキンサンド弁当
・ハニーマスタードチキンサンド
・アスパラガスのハーブマリネ

ハニーマスタードチキンサンド
[材料]
鶏もも肉(唐揚げ用など一口大) 400g
塩、こしょう 各少々
片栗粉、植物油 各適量
A はちみつ 大さじ3
    粒マスタード
    しょうゆ、白ワイン 各大さじ11/2
<サンドイッチ用>
キャベツ(せん切り) 、塩 各適量
お好みのパン(2㎝厚さ) 2切れ

[作り方]
① 鶏もも肉は塩、こしょうをふって片栗粉をまぶす。Aの調味料を混ぜ合わせる。
② フライパンに油を中火で熱し、①の鶏肉を皮目から焼く。
③ 鶏肉に火が通ったら、混ぜ合わせたAを加えて絡めながら煮詰める。
POINT 鶏肉の代わりに豚肉や魚で作ってもおいしい。冷凍保存も可能です。

アスパラガスのハーブマリネ
[材料]
アスパラ(塩茹でする) 150g
オリーブオイル 大さじ2
白ワインビネガー 大さじ2
塩 小さじ1/4
タイム 適量
オレンジ 1/2個

[作り方]
①アスパラガスは固い部分を切り落とし、食べやすい長さに切って塩ゆでする。
②①とマリネ液の材料を合わせて、清潔な保存容器に入れる。
③オレンジは皮と果肉に分け、皮を器に見立てて②のマリネとオレンジの果肉を盛る。


マリネやサラダをお弁当に詰める場合は、オレンジなど柑橘類の皮を器代わりにすると見た目も涼しげ。見ためもかわいらしく、環境にもやさしいアイデアです。



切ったときの美しい断面を
想像しながら具をサンドする

最近はカフェやデリなどでも注目の、断面の美しいボリュームサンド。どんなふうに具をのせていけば、上手に作れるのでしょうか。

「具がはみ出すことを恐れているのか、具材を少ししかのせない方や、パンの中央部分にしかのせない方も多いのですが、思い切ってたっぷりのせても大丈夫ですよ。ワックスペーパーでしっかり包めばはみ出すこともありません。パンの端までしっかりのせたほうが、切ったときの断面もきれいです」(和田さん)


パンは2㎝くらいの厚めに切るのがおすすめ。今回は胚芽パンを使用していますが、バケットやライ麦パンなど、好みのパンでOK。具材に鶏もも肉を使ったので油分を抑えるためにバターやマヨネーズはあえて塗りません。


キャベツのせん切りは塩を振ってしばらくおき、両手でギュッとしぼって、しっかりと水けをきります。均一な厚さになるようにパンの端までキャベツをしっかりのせましょう。


キャベツの上に、ハニーマスタードチキンをのせていきます。切ったときの断面の構図を意識しながら、中央部が少し高くなるように、まんべんなく。


もう1枚のパンを重ねて、手で軽く押さえます。



サンドイッチを崩さず持ち歩ける
ワックスペーパーのラッピング

ボリュームサンドの具材がバラバラにならないように、持ち歩くためには、包み方にもひと工夫ありました。和田さんがおすすめするのはワックスペーパーを使ったラッピングです。

「耐水性や耐油性があって、パンが乾燥するのを防ぐことができます。食べるときに手も汚れないので、サンドイッチにぴったりなんですよ」(和田さん)
さっそくラッピングの手順を見てみましょう。


厚みを考慮して、サンドイッチに使用したパンの約4倍の長さのワックスペーパーを用意して、中央にサンドイッチをのせます。


サンドイッチを包むように、ワックスペーパーの端と端を合わせます。


ワックスペーパーの両端を合わせて、約1㎝幅に折りたたんでいきます。サンドイッチをぴったり包むまで折りたたみます。


左右の余ったペーパーを、キャラメル包みの要領で内側に折り込みます。


ラッピング完成。この状態で具材とパンがなじむまでしばらくおきます。


乾燥した清潔なカッティングボードとよく切れる包丁を使い、ワックスペーパーのとじ目に対して包丁を垂直におろすようなイメージで、ペーパーごと切り分けます。

「ワックスペーパーで包んだ状態で持って行って、食べる直前に切り分けるのもおすすめ。コツさえつかめば簡単ですよ」(和田さん)

食欲をそそるハニーマスタードソースの絡んだチキンと、たっぷりの野菜をはさんだサンドイッチは、ボリューム満点で手軽に食べられるので、元気を出していきたい夏のランチに最適です。ぜひトライしてみてください。

旬をいただく大人のお弁当
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和田千奈(料理研究家)
食べることが大好きな両親のもとで、料理のコツや楽しさを学びながら育つ。大学卒業後は航空会社の客室乗務員として勤務。多忙な生活の中で食の大切さを改めて実感し、食を伝える仕事をしたいと決心する。退職後は料理教室アシスタントを経て独立。現在は、雑誌、ウェブ、書籍、企業販促用のメニューやレシピの開発、フードスタイリング、デモンストレーションを含む料理教室講師などを幅広く手掛ける。著書に『時短!簡単!からだが喜ぶ魚の水煮缶レシピ』『毎日 みそ汁 からだ改善レシピ』(以上、DIA Collection)など。
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