日本伝統の手仕事を体験~江戸切子編~
gentenは今年、ブランド創立20周年。「粋」をテーマに、あらためて日本の伝統文化や伝統の技を見つめています。そんな伝統の数々にgentenスタッフがふれる企画。第2弾の今回は、東京でも国でも伝統工芸品に指定されている「江戸切子」を体験してきました。訪れたのは、1899年創業、墨田区錦糸町で120年続く会社の伝統を受け継ぐ「すみだ江戸切子館」さんです。
繊細な模様が織りなす伝統工芸
江戸時代から続く「技」と「粋」に触れる
江戸時代から続く伝統技術による繊細なカッティングから幾重にも光が差し込み、暮らしに彩りを与えてくれる江戸切子。
江戸時代の庶民の食器といえば漆や陶器が中心でしたが、江戸時代後期になると西洋からガラス製品が入ってくるようになります。江戸大伝馬町でビードロ問屋を営んでいた加賀屋久兵衛という職人が、西洋から入ってきたガラス製品に金剛砂を用いて切子細工をしたのが、江戸切子の始まりだといわれています。
江戸切子は、もともとは透明なガラスの表面に模様を入れる工芸品でしたが、明治時代以降に技術が進化し、透明なガラスと色ガラスを重ねた、色被せガラスを用いた江戸切子が生産されるようになりました。職人がカッティングを施すことで、色つきの部分と、透明な部分に分かれ、独特の繊細な模様が生まれます。薩摩切子と比べると、色ガラスの層が薄く、カットの細やかさが特徴だそうです。
江戸切子の伝統的な模様。魚子(ななこ)、あられ、籠目、麻の葉、菊、格子など、身の回りの自然や植物をモチーフにしたものも多いとか。
伝統工芸職人と同じ機械を使って
世界に一つだけのグラスを作る
江戸切子体験では、最初に練習用のグラスで、回転盤を使って表面を削る感覚に慣れます。初めて扱う機械なので、最初は緊張や戸惑いもありましたが、職人の川井さんに丁寧に教わるうちに、少しずつ慣れることができました。
一通り教わったら、たくさんのグラスの中から自分の好きなものを選んでデザインを下描きして、いよいよ体験本番です。どんな作品が出来上がるのでしょうか。
■練習用グラスで機械を扱う練習
天然の砥石や工業用ダイヤ粒を練り込んだステンレス製の円盤状の刃を回転させて、ガラスの表面を削ることで模様を刻みます。職人の川井さんがマンツーマンで教えてくれました。
■グラスを選ぶ
用意されている、さまざまな色や形のグラスの中から本番用を選びます。色が薄いガラスのほうが、ガラス越しに回転盤の刃が見えやすいので初心者向きだそうですが、gentenスタッフは濃い青色をセレクトしました。
■ガイド線を引く
「割り出し」と呼ばれる下描きの作業です。ペンで縦横のガイド線を描くことで、ガラス面を削るときの目安にします。
使うときのことを考えて、飲むときに口を付ける縁の部分には、模様を入れないのがポイント。
■ガラス面を削っていく
ガイド線に沿って、ガラス表面を削っていきます。「グラスは両手で持って、手前に引きながら削るようなイメージです」(川井さん)
■ガイド線を拭き取る
ガラスの表面を削り終わったら、下描きで描いたガイド線を拭き取っていきます。 側面の縦のライン、底の部分の放射線状のラインが浮かび上がり、全体のデザインがよくわかります。
■江戸切子の完成
完成した江戸切子のグラスを横から見たところ(左)、上から見たところ(右)。青と透明のコントラストが美しく、家でのお茶やお酒の時間が愉しいものになりそうです。繊細なグラスなので食器洗い洗浄機や電子レンジの使用はNGだそう。
江戸切子を体験してみて、自分の思い描いた線をガラスに刻んでいく面白さと、難しさの両方を実感することができました。体験を経て、お店に並んでいる江戸切子を眺めると、あらためて伝統工芸の細やかな手仕事に胸を打たれます。
すみだ江戸切子館では、「次はこういうものを作りたい」と、何度も体験に足を運ぶお客様も多いそうです。gentenスタッフも今回に限らず、ぜひまたチャレンジしてみたいと思いました。
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金継ぎ編
今回、教えてくれたのは、すみだ江戸切子館のマイスター・川井更造さん。江戸切子職人として伝統を大切に受け継ぎ、これからの時代の江戸切子のために新たな技術を追求しているそうです。
店舗情報
すみだ江戸切子館
住所:東京都墨田区太平2-10-9
電話:03-3623-4148
営業時間:10:00~18:00
※江戸切子体験の時間は公式サイトにてご確認ください
休館日:日・祭日及び夏季休暇・年末年始休暇
http://www.edokiriko.net/