【2019夏】本革を編み上げた「フィッシュネット」

gentenの2019年夏の新作は、その名の通り「漁網」にインスパイアされた「フィッシュネット」。本革を紐状にして職人が一つひとつ手編みで仕上げたバッグは、軽やかで涼しげ。かごバッグよりもきちんと感があって、一目見たら忘れられないインパクトも残してくれるはずです。実は、担当デザイナーの構想5年という思い入れをもとに完成した一品。夏の日差しによく似合う「フィッシュネット」をご紹介させていただきます。


試作を重ねたオリジナルの編み方と
バッグのフォルムを美しく保つ工夫

漁網にインスパイアされたフィッシュネット。「革紐のネットのバッグ」というアイデアは、担当デザイナーが5年ほど前からあたためていたものです。いつか形にしようと思い続けて、やっと実現化できることになったのですが、完成までにはかなり苦心をしました。


バッグのフォルムを美しく保つため、持ち手とそこにつながるバッグ上部、底面には、ハリがあるミネルバリスシオを使用。ネット部分は、しなやかで丈夫なミネルバボックス。どちらもgentenではお馴染み、フィレンツェ郊外のタンナー、バダラッシ・カルロ社の革です。

そして、見えづらい部分ではありますが、底面の内側には豚革を採用することでバッグの軽さに配慮。使用する箇所に応じて適した3種の革を選んだ贅沢なつくりです。


ネット部分はgentenオリジナルの編み方なのですが、デザイナーと職人が意見を出し合い、何度も試作を繰り返しました。その過程で実感したことですが、革紐の太さや、網目と網目のピッチは、ほんの1mm変わるだけで印象を左右します。もちろん、バッグとして強度も絶対に譲れない点です。


試作の一例。最初はmm単位の調整がしやすい方眼紙を使って試作(写真左)。その後、革紐の太さや、網目と網目のピッチを変え、編み方を工夫してはベストな形状を探っていきました。

上の写真の中央にあるヌメの革紐の試作がそうなのですが、当初考えていた編み方だと、結び目にボリュームが出すぎてしまい、イメージどおりにならないことがわかりました。試行錯誤してたどり着いたのが、革紐に切り目を入れてもう一方の革紐を通し、ねじりをいれるという技法です。



バッグの外装がネット状になっていると、物の重さでネットが伸びてしまわないか心配になるかもしれませんが、バッグの上部で内装の布地をしっかり縫い付けることで、外装の底面に負荷がかからず、ネット部分が伸びにくいように工夫しています。

また、その布地も袋縫いで二重仕立てにした巾着の形状にしています。上の写真は巾着の内側を引っ張り出した状態。一番外側に飛び出している部分が、実際はバッグ内側の底面にあたります。手間はかかりますが、こうすることで頼りなさを感じない確かさを実現しています。

なお、巾着の内側にはオープンポケットを備えています。





2型×2色展開。装いに合わせて
ナチュラルにも、モードにも

「フィッシュネット」は、トートバッグ(上写真)と、ショルダーバッグ(下写真)の2型。カラーは、ヌメベージュ(上写真)と、ネイビー(下写真)の2色をご用意しました。


内装の生地は、ヌメベージュには革と馴染みの良いリネンコットンを、ネイビーには清涼感のあるコットン100%のダンガリー素材を合わせています。

トートバッグはマチ幅をあまりとらずに、すっきりとしたシルエット。荷物が少ない日のビジネスユースでも使えるスマートさがあります。ショルダーバッグはコロンと可愛らしいフォルムで、丸い持ち手がアクセント。ショルダーベルトは取り外しができて2WAYでご使用いただけます。


「フィッシュネット」は2型とも合わせる洋服によって、その表情がナチュラル系にもモード系にもなるのがおもしろいところ。ベルトを外したショルダーバッグは、浴衣とも相性が良いと思います。


レディースラインのバッグですが、実は男性がお持ちになっても素敵です。

「フィッシュネット」の魅力は、エイジングにもあります。凹凸のあるネットは、身体や洋服に触れる頻度が高い凸部分から摩擦で艶があがり色が濃くなっていきます。持ち方や使う頻度によっても異なりますが、半年ほど使っていくうちに経年による変化が表れてくると思います。
一枚革のバッグとはまたひと味違った豊かな表情をお楽しみください。

フィッシュネットは各ショップにて販売中。

■フィッシュネットのお手入れについて■

ミネルバリスシオもミネルバボックスも天然のオイルをたっぷりと含んだ上質な革です。時間が許せばご使用になる前に、しばらく日光に当てることをおすすめします。革の銀面(表面)が強くなり、革が本来持つデリケートさがやわらぎます。また、愛着を持って使い続けることでオイルが染み出てきて表面を保護する役割をしてくれます。

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