長く使える良質な物選びでシンプルに暮らす

必要最小限の物で豊かに暮らす、シンプルライフが注目を集めているマキさん。家事の時短のために使っていないもの、今は必要ないものを少しずつ減らしていくうちに、一つひとつの物と向き合う習慣が生まれ、吟味して買うようになったといいます。後編では、マキさんの物を持つ基準や、長く愛用しているものを教えていただきました。前編はこちら

納得できる質の良いものを買う
衝動買いをしないこともエコ

以前はセールで衝動買いをしたり、スマホでのネットショッピングも楽しんでいたというマキさん。持たない暮らしをするようになってからは、買うという行為にも慎重になったといいます。

「かわいい!とか、安い!という理由でなんとなく買ったものって、軽く捨てられてしまう。それはエコではないですよね。吟味に吟味を重ねて、自分が納得できるお気に入りの物が手に入れば、長く使うことができますし、たとえ壊れても修理をしながら大切に使います。自分の中に衝動買いをしない仕組みを作ることもエコなんです」


マグカップ一つでも、自分が使っているシーンを想像してから買います。デザインはもちろん、持ちやすさや重さなどさまざまな角度から吟味を重ねます。



多用途に使える物を選ぶことで
持たなくても豊かに暮らせる


マキさんが物を選ぶ基準の一つに「何通りにも使える多用途な物」というのがあります。前編でお話の中に登場した8通りに使える液体洗剤もそう。工夫次第で何通りにも使える物を選ぶことで、少ない物でも不便なく生活ができて、収納スペースや時間にも余裕ができます。

たとえばホーローの保存容器。マキさんは次のように使っています。
「下ごしらえした野菜や食材を保存するほか、そのまま食器として食卓に出したり、お弁当箱として使うことも。直火にかけられるので、オーブン料理の耐熱皿としても使うし、アヒージョもフルーツゼリーもこれ一つで作ります」

「おいしいものを食べたい!」という気持ちは人一倍強いというマキさん。良質の食材を買ったり、スペシャルな外食をしたりすることには、お金を惜しまないのだそう。
「良質な食材と、おいしい調味料があれば、技術がそれほどなくても料理が勝手においしくなってくれるんです。梅干しや味噌、ジャム、りんご酢など、手作りできるものは作っているし、そのための時間を大事に楽しんでいます。自炊の満足度が上がったことで、コンビニで買って済ませたり、適当なお店に入ることがなくなりました」

時間や手間、お金をかけるところと、無駄を省くところのメリハリをつけることが、シンプルライフの醍醐味なのかもしれません。


プラスチック製の保存容器に比べると高価ですが、ホーローの保存容器は多用途で10年以上使えることを考えればその価値は十分あります。


子どもたちの好きなフルーツゼリーを作ります。ホーロー容器を直火にかけてゼリー液を作るのでボウルも鍋も不要。


ゼリーは粗熱が取れたらそのまま冷蔵庫へ。野菜類はすぐ使えるように簡単な下ごしらえをしてから保存します。



手に取るだけで幸せな気持ちになる
愛着のある物に囲まれた暮らし

「長く愛用しているものを見せてください」とgentenスタッフからリクエスト。

マキさんが紹介してくれたひとつ目は、北欧で長年愛されてきた子ども用のダイニングチェア。上のお子さんが0歳のときに購入したもので、もう10年使っているそうです。
「離乳食のころから、ダイニングで勉強するようになっても使えます。下の子の分も同じカラーの物を購入して、姉妹でおそろいに。10年間ほぼ毎日、最低3回は座っているので、少々高くても良質なものを買えてよかったです」


コンパクトで、ダイニングになじむシンプルなデザインとカラー。


座板と足のせ板の高さを細かく調節できるので、赤ちゃんから大人まで使えます。

もうひとつは、ひいおじいさんが愛用していたという腕時計です。
「曾祖父が戦後に買ったものだそうで、曾祖父から祖父へ、祖父から母、母から私に受け継がれた時計です。曾祖父には会ったことはないのですが、祖父がお出かけのたびに身につけていたという記憶は残っています。曾祖父の愛用品だと知って、母が祖父の形見として持っていたものを譲ってもらいました。ベルト部分はボロボロだったので取り替えましたが、70年以上を経た今でも現役で時を刻んでいるので、きちんと作られたものなのだなあと感じます」


電池式ではなく手巻き式。手巻きの一手間があるからこそ、愛着も深まるのだそうです。

今は物が豊富で、いくらでも新しくて便利な物が手に入る時代です。物を一つ選ぶにしても、情報や選択肢がたくさんあり、楽しい反面、ときどき息苦しくなってしまうことも。だからこそ、自分に必要のない物は潔く持たない、でも愛着のある物はとことん大切にするマキさんのライフスタイルの豊かさに、多くの人が魅きつけられるのだとgentenスタッフは感じました。

「選び抜いた愛着のある物は、手に取るたびに素敵!すごく好き!と気分が上がります。だから、物が少なくても十分心が満たされるんです。あれが欲しい、これを買わなきゃ、と物に振り回されることもなくなったので、落ち着いた気持ちで生活できています」

前編はこちら

マキ/シンプルライフ研究家

夫と長女(10 歳)、次女(6歳)の4人家族。広告代理店に勤務するかたわら、ブログ「エコナセイカツ」を主宰。『ゆるく暮らす 毎日がラクで気持ちいい、シンプルライフ』(マイナビ出版)、『しない家事』(すばる舎)、『虫のいい家仕事 家事の嫌いな私のラクして時短!片付け&収納術』(宝島社)など著書多数。
http://econaseikatsu.hatenadiary.com/