シンプルに暮らすことが自然にエコにつながる

シンプルライフ研究家のマキさんは、今の自分に必要のないものは持たない、しなくてもいい家事はしない、豊かな生活を追求しています。ご自身の暮らしを綴ったブログ「エコナセイカツ」は、以前からgentenスタッフも注目していました。前編では、マキさんの考えるエコな暮らしや、現在のシンプルライフに至るまでをお聞きしました。この春に新生活を始めた方、心機一転、身の回りを整えたい方にお届けします!


家事や物を削ぎ落していったら
いつの間にかエコになっていた

広告代理店でテレワークをする傍ら、シンプルライフ研究家として執筆や講演活動も行い、10歳と6歳の2人のお子さんの子育て中のマキさん。玄関のドアを開けると、多忙な日々を感じさせない、選び抜かれたものだけに囲まれた、すっきりと心地よい空間が広がっていました。

マキさんがシンプルライフを意識しだしたのは、2人目のお子さんを妊娠したとき。
「長女だけのときは仕事、育児、家事と手を抜かず、なんとかやっていました。でもこれから子どもが2人になったら物もやることも増える一方。効率良く暮らしを回していくために、どこが削れるだろう? と考えたときに、仕事と育児は手を抜けないけれど、家事は自分のやりようで減らせる! と考えたのです。家事を効率化するために物を減らしていったら、いつの間にか電気や水の使用量やごみが減って、エコが後からついてきた感じ」


ざるやボウルなどの調理道具は各1つずつしか持たないと決めたそう。シンク回りにも余計なものがないので、すぐに調理に取り掛かることができます。

暮らしをシンプルにするために、マキさんは、物を減らすことからスタートしました。
「もともと私は買い物が好きで、物をたくさん持っていました。棚の上には写真立てやお気に入りの雑貨を飾っていたし、おしゃれな間接照明も置いていました。でも、物があるとホコリが溜まるし、ひとつひとつホコリを落とさなくてはならないから、掃除に時間も手間もかかります。物を置かなければ、サッと拭いて終わりにできる。家事をラクにするために、生活に必要のない物を置くのをやめました」

物がたくさんあると家事が大変になるだけでなく、どれにするか迷ったり、必要なものを探すなど、時間も費やすことになります。
「使っていない物や、必要のない物を減らしたことで、物の管理がラクになりました。探したり迷ったりする無駄な時間が減って、気持ちにも余裕ができました」

以前は、食器洗い洗浄機やロボット掃除機の導入も考えていたというマキさんですが、食事をワンプレートにすることで洗い物を減らす、床に物を置かないことで掃除をしやすくするなどの工夫を積み重ねることで、忙しい毎日にもゆとりが生まれるようになったのだそうです。


普段はチェストの上には何も置かないので、掃除はサッと水で拭くだけ。洗剤も使わないので、時短のうえにエコ。


家族4人分の食器はこれがすべて。使用頻度の高いお気に入りだけです。「どのお皿に盛り付けよう?」と迷わずに済むし洗い物も最小限。



家中の洗剤を1種類に絞ることで
ドラッグストアに行かなくなった

上のお子さんがまだ小さかったときは、赤ちゃんの服はナチュラル系の洗剤、大人の洋服は合成洗剤、と分けて1日に2回、洗濯機を回していたというマキさん。
「赤ちゃん用の洗剤で大人の洋服も一緒に洗えば洗濯は1回で済むんですよね。洗剤を1本化するだけで、水も、電気も、洗剤もそして時間も今までの半分にできます」

掃除や洗濯に使う洗剤も、食器用、トイレ用、お風呂用、床用など、それぞれ使い分けなくてはいけないと思い込んでいたそうです。「今思えば、成分を見比べるとほとんど一緒だったりするのに、在庫を切らすたびにドラッグストアや100円ショップに駆け込んで。たくさんの商品の中から選ばなくてはならず、使用後にごみがたくさん出ることもストレスでした」

洗剤は、洗濯や掃除はもちろんボディソープやハンドソープとしても使える化学合成物質フリーもの1本に絞ったことで、買い物や詰め替えの手間をかなり減らすことができました。

どの他にも、100円ショップでずっと買っていた紙製のコーヒーフィルターをやめて、ネル生地を縫い合わせて自分で作ったり、排水溝ネットをやめてステンレスの受け皿を使ったり。ドラッグストアや100円ショップに行く回数をかなり減らすことができたといいます。


キッチン用洗剤は粉せっけんを使用。シュガーボトルに入れることで、ふたを開閉しなくてもワンアクションで使うことができます。

「ドラッグストアや100円ショップの店先には、いつでも新しい商品や便利そうな商品が並んでいますよね。足を運べばそれなりに楽しいのですけれど、商品に振り回されて疲れてしまう。今は自分の仕事や家族と過ごすことを大切にしたいので、そこに時間や体力、お金を使う時期ではないと思っています。毎日、穏やかな心で暮らすために、なるべく近寄らないようにしているんです(笑)」



自分にやさしいシンプルライフは
巡り巡って地球にもやさしい

「エコな暮らし」ときくと、庭で野菜を育てたり、生ごみから肥料を作るなど、手間ひまかけた暮らしを思い浮かべて、自分にはハードルが高そうに思えるかもしれません。でも、マキさん流のエコな暮らしなら、私たちでも今日からまねできそうですね。

「地球には申し訳ないのですが(笑)私の場合はエコな暮らしをするぞ! と思って始めたのではなく、いかに家事を効率化して減らすかを考えて実践していたら、自然にエコにつながっていったという感じです。自分自身の気力、体力を温存することも重要なエネルギーの節約だと思います。暮らしをシンプルにして、自分自身にやさしくすると、巡り巡って地球環境にもやさしいことができる。マンション暮らしの現代人にもできる、身近なエコを目指していこうと思います」


「家事があまり好きではない」というマキさん。どうしたら楽にできるのだろう?と突き詰めた結果、約2年かけて必要でない物は持たないシンプルライフに行きついたのだそう。

(後編に続く)

マキ/シンプルライフ研究家

夫と長女(10 歳)、次女(6歳)の4人家族。広告代理店に勤務するかたわら、ブログ「エコナセイカツ」を主宰。『ゆるく暮らす 毎日がラクで気持ちいい、シンプルライフ』(マイナビ出版)、『しない家事』(すばる舎)、『虫のいい家仕事 家事の嫌いな私のラクして時短!片付け&収納術』(宝島社)など著書多数。
http://econaseikatsu.hatenadiary.com/