大切な革バッグのためのお手入れ カーフ編

薄く、やわらかく、軽いという特長を持つ上質な仔牛革「カーフ」。ひと口にカーフと言っても、genten定番の「アビラII」シリーズと、ご好評の福財布「サルターレ」では、実はお手入れ方法が異なります。キメが細かく、光沢があり、エレガントな佇まいのカーフ。その魅力を守りながら、さらに美しいエイジング(経年変化)を重ね、長く快適にお使いいただくためのお手入れ方法をご紹介いたします。


イタリアの名門タンナーのカーフを使用。
gentenの定番シリーズ「アビラII」のお手入れ。

カーフとは、生後6カ月以内の仔牛の革のことで、薄く、軽く、キメが細かくて、やわらか。初めはマットな質感のものも、他の革に比べると早い段階からつやが出てきて、エイジング(経年変化)を実感しやすい革です。

gentenでカーフというと、まず代表的なのが「アビラII」シリーズです。使用しているのは、名立たるメゾンも挙って取引をしているイタリアの名門タンナー・インカス社のもので、なめらかな中にも少しシボ感のある表情の銀面(表面)が特徴的。伝統的な手法をベースにしたタンニン鞣しで仕上げられています。

■買ったその日のお手入れ・普段のお手入れ
<防水スプレーの使い方>

カーフは、一言でいえば「デリケート」と呼べる革で、水染み・脂染みが吸着しやすい傾向にあります。買ったその日の新しい状態に、まず防水スプレーをすることをおすすめします。

防水スプレーは、できるだけ庭やベランダなどの屋外で使用しましょう。よく振ってから、一度、バッグとは離れた別の場所にふいて、スプレーのふき出しにムラがないことを確かめてください。(使い始めはきれいな霧状にふき出ないことが多いので、注意してください)

スプレーがきれいにふけたら、バッグの裏側や角などの目立たないところからスプレーをします。この時、バッグとスプレーの距離は必ず30~40cm以上離してください。ふんわりと円を描くように全体にスプレーをふきかけたら、そのまま30分以上おいて乾燥させます。

毎日のように頻繁に「アビラII」のバッグを使う場合、10日~2週間に1回を目安に防水スプレーをしていただくと、きれいな状態を保ちやすくなります。なお、リュックの場合は、背面は身体に接して守られているので、ご自分の目が届きにくい表面を特にこまめにスプレーするのがコツです。

■引っかき傷が気になったときのお手入れ

「アビラII」のカーフは、じっくりと丁寧なタンニン鞣しが行われているため、爪などによる引っかき傷ができてしまった場合、手のひらで少し力を入れてこするように全体になじませると、傷が目立たなくなります。


縫い目の下に引っかき傷が一本、線のように入ってしまいました。


手のひらで、広く面をこするようになじませます。綿の手袋をしているとなお良し。


縫い目の下にあった引っかき傷が目立たなくなりました。

■白化が気になったときのお手入れ

上の写真で、縫い目の上側の革の色が白っぽくなっているのがわかるかと思います。色が抜けて、カサカサと乾いた感じになるのが「白化」です。カーフはもともと革に含まれる油分が少ないため、水分も抜けやすい性質があります。

使い始めて半年くらい経ったら、また、乾燥してきなと感じたら、デリケートクリームを薄く塗って保湿をしてあげることでつやが出て、発色が良くなります。

■黒ずみなどが気になったときのお手入れ


角などにくすみ・黒ずみが出てきたときは、泡状のバッグ用レザークリーナーなどを使ってお手入れをするのが効果的です。


綿の手袋をした手にクリーナーを少し出し、手袋の内側(手のひらの広い面)によくなじませます。革に直接つけるのは避けてください。


上から下に(または、右から左に、など)一定方向に流すように、気になる部分を手のひらでやさしく拭いていきます。ゴシゴシとこするのはNGです。


拭いてすぐは、クリーナーの水分で少し、にじんだようになっていますが…


乾くとこの通り。


さらに、クリーナーでお手入れした部分と、全体にもコンディショニングクリームを塗っていきます。


ベルトなどの細かい部分のお手入れにも綿の手袋は重宝です。クリームがなじんで乾くと、気になった角もこんなにきれいになりました!




ワックスを浸透させた鞣しで、ひと際つややか。
「ラフィナート」「イージートートバッグ」のお手入れ。

「ラフィナート」や「イージートートバッグ」に使用しているのは国産鞣しのカーフです。先の「アビラII」のカーフより、つやのある革質が写真でもおわかりいただけると思います。ワックス成分を浸透させる鞣しが用いられていて、これは国内ではほとんど行われていない難しい技術です。

カーフ本来のやわらかさに、光を受けた時の上品なニュアンスが、独特の豊かな表情を醸し出します。また、ワックスの効果で他のカーフより水染みが軽減されているのも特長です。

■買ったその日のお手入れ・普段のお手入れ
<防水スプレーの使い方>

「ラフィナート」や「イージートートバッグ」も、買ったその日の新しい状態のときと、使い始めたら10日~2週間に1回を目安に、防水スプレーをしていただくことをおすすめします。


防水スプレーは、できるだけ庭やベランダなどの屋外で使用しましょう。使用前に、よく振ってから、一度、バッグとは離れた別の場所にふいて、スプレーのふき出しにムラがないことを確かめてください。(使い始めはきれいな霧状にふき出ないことが多いので、注意してください)

スプレーがきれいにふけたら、バッグの裏側や角などの目立たないところからスプレーをします。この時、バッグとスプレーの距離は必ず30~40cm以上離してください。ふんわりと円を描くように全体にスプレーをふきかけたら、そのまま30分以上おいて乾燥させます。

リュックの場合は、背面は身体に接して守られているので、ご自分の目が届きにくい表面を特にこまめにスプレーするのがコツです。

<デリケートクリームの使い方>

「ラフィナート」「イージートートバッグ」のカーフも、カーフの特性として革自体に脂分が少なく、水分が抜けやすいので、デリケートクリームを使った保湿ケアを比較的こまめに行ってください。カーフは、良くも悪くもクリームの成分をよく吸着するので、他の革のお手入れ以上に、デリケートクリームの使い方にコツがあります。



デリケートクリームの前に、まずはファスナーや縫い目に軽くブラシをかけて、ほこりを払い、全体をやわらかい綿の布(Tシャツの古着でもOK)で乾拭きします。



綿の布にデリケートクリームをごく薄く、ほんの1円玉くらいの少しの量を取ります。


もみ込むようにして、デリケートクリームを布になじませます。


布を指に巻き付け、角を中心に少しずつ、ピンポイントで薄く、薄く、デリケートクリームを塗り、少し塗っては休ませ、また薄く塗って休ませてを、2~3回繰り返してください。


特に乾燥して白化が目立つような部分は、内側から指で押し上げて、クリームを塗っていきます。「塗り重ねる」のではなく、「革に入れ込む」イメージです。


クリームがきれいに入ると、つやと色の深みが増します。デリケートクリームでのお手入れが終わったら、最後に防水スプレーで仕上げをして完了です。この防水スプレーには、クリームで入れた水分を逃がさないように蓋をするという意味もあります。




繊維が繊細でパウダリーなタッチ感を持つ
「サルターレ」は、お手入れにご注意を。

福財布「サルターレ」や、少し前のシリーズですが「レッジェーロII」に使用しているカーフは、太鼓鞣しにより銀先がほぐれ、起毛したように仕上がった革です。“パウダリー”と表現していますが、この革ならではのやさしい肌触りを好んでくださる方が多くいらっしゃいます。

ただ、毛足が立っていることで水染みに弱い性質があります。お財布なども濡れた手で触ったりしないようにしていただくことをおすすめします。

カーフの特性として、つやが出るのは早く、使い込むのはもちろん、乾拭きすることでもエイジング(経年変化)が進みます。また、他のカーフ同様、防水スプレーやデリケートクリームでお手入れしていただくことはできますが、防水スプレーで色合いが少し白味をおびたり、デリケートクリームで一段色味が濃くなる可能性もありますことを、ご了承ください。

「サルターレ」や「レッジェーロII」のカーフは、先述したとおり、水に弱いので、ご自身での水拭きのお手入れは避けてください。もし雨染みなどで困ったことがあった場合は、店頭スタッフにご相談ください。




 「デリケートクリーム」と
「コンディショニングクリーム」の違い。

長くなりましたが、最後に「デリケートクリーム」と「コンディショニングクリーム」の違いについてご案内いたします。

どちらも革製品全般に使える「保湿&栄養クリーム」で、革を乾燥や汚れから守り、100%の保湿を行うことで革本来の発色も鮮やかにしますが、「コンディショニングクリーム」のほうがより油分を多く含んでいます。

普段のお手入れには「デリケートクリーム」。長く使い込んで、乾燥が目立つ革製品には「コンディショニングクリーム」の使用がおすすめです。

「デリケートクリーム」はしっとりとした仕上がりに、「コンディショニングクリーム」は油分が革に浸透することで表面はさらっとしたつやのある仕上がりになります。


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