大切な革バッグのためのお手入れ ゴートヌメ編

革製品を長く快適にお使いいただき、美しい経年変化を重ねるためのケア方法をご紹介しています。今回は、gentenが10年以上前に立ち上げた「ゴートヌメ」シリーズ。牛革や豚革に比べると、ややなじみの薄い山羊(ゴート)革ですが、その軽やかさと、粒シボの繊細な肌目、体に沿うしなやかさからファンも多く、gentenの主力シリーズのひとつです。

天然のワックスをたっぷり含む
ゴートヌメはお手入れも簡単

ゴートヌメシリーズは、タンニン鞣しされた素上げ調の革を製品として仕立てた後に、手仕事により奥ゆきのある豊かな表情に仕上げているシリーズです。そのため、一つひとつ表情が異なります。初めて手にしたその日から、まるで長い時間を一緒に過ごしたバッグのように体になじむのは、gentenのゴートヌメならではです。

革に含ませた天然のワックスの効果で、素仕上げの革に比べると水染みができにくく、キズが入りにくく、また、豊かな表情が染みさえも気にならない味わいがあります。なかなかお手入れの時間が取れない忙しい方にもおすすめです。

■買ったその日や雨の季節のお手入れ・普段のお手入れ
<防水スプレーの使い方>

革製品をきれいな状態で使い続けるために、有効なケアのひとつが防水スプレーです。梅雨の季節や雨が降りそうな日でも、あまり神経質にならずにバッグをお使いいただけます。gentenの「ウォータープルーフスプレー」は、革の質感や通気性を損なうことなく、水や汚れからバッグを守ってくれます。使い方のコツをご紹介しましょう。


スプレーをする前に、やわらかい布で表面を乾拭きして、ほこりや汚れを落とします。繊維の凹凸が少ない綿100%のクロスや、園芸用やドライブ用のコットン100%の手袋がおすすめです。着古したTシャツや肌着でも代用できます。


防水スプレーはできれば庭やベランダなど屋外で使用しましょう。使用前によく振って、バッグから30~40㎝ほど離して、ふんわりと円を描くようにまんべんなく吹きかけます。スプレーしてからしばらくは空気中に液が舞っているので、バッグ全体にまとわせるようにくぐらせて、そのまま30分以上おいて乾燥させます。

普段のお手入れは、こまめに防水スプレーを使用して、乾拭きするだけで終了。ただし、水に強いとはいってもヌメ革なので、放っておくとシミの原因になります。雨などに濡れたらすぐにやわらかいタオルなどで水をふき取り、陰干しして乾燥させてください。



経年による乾燥や引っかきキズが
気になるときのお手入れ

乾拭きと防水スプレーだけという、普段はごくシンプルなケアでお使いいただけるゴートヌメですが、長い間愛用していると、経年による乾燥や色の変化が気になってくることがあります。保湿クリームを使ってうるおいを補うことでツヤが現れ、革の発色もよくなります。

■うるおいを補うお手入れ
<クリームを使ったケア>

革の表面が少し乾燥してきたなと感じたら、保湿クリームを使ったケアをしましょう。gentenの「レザーケア デリケートクリーム」は革製品全般に使える保湿&栄養クリームです。革製品を乾燥や汚れから守り、革本来の色やツヤをよみがえらせます。大切なバッグの乾燥が気になったら、ぜひ使ってみてください。


お手入れをしやすいように、バッグの中身をすべて出したらやわらかい布、または綿100%の手袋で全体を軽く乾拭きします。バッグの底やハンドル部分も忘れずに。


ファスナーや金具、ステッチの縫い目などにはほこりがたまりやすいので、ブラシを使って落としましょう。



クロスに1円玉大程度の保湿クリームをとり、よくなじませて浸透させます。革に直接クリームをつけるとシミの原因となるので絶対にやめてください。


指にクロスを巻き付け、底面や角など目立たない場所から塗り始めて、全体に薄くのばすようにクリームを塗ります。クロスで円を描くようにまんべんなくなじませましょう。


よく触れるハンドル部分やショルダーベルトにもクリームを伸ばしていきます。


ある程度塗り終わったら、手で全体を軽く揉んで革に含まれているオイル分を動かし、再び保湿クリームを塗るとより効果的です。

■経年による乾燥やキズが気になるときのケア

うるおいを補う普段のお手入れなら「レザーケア デリケートクリーム」でのお手入れで十分。しかし、経年変化によって、皮に含まれた水分が抜けて乾燥がひどい場合や、色が抜けてしまったとき、引っかきキズがきになるときは、デリケートクリームより油分の多い「レザーケア コンディショニングクリーム」をおすすめします。

油分を多めに補うことで、乾燥やキズが目立たなくなって革本来の鮮やかな色がよみがえり、美しいツヤが現れます。お肌のケアと同じで、「デリケートクリーム」で水分を補い、「コンディショニングクリーム」で油分が逃げないようにフタをして、さらにうるおいをプラスするイメージです。



バッグ全体を乾拭きした後、やわらかい布、または綿100%の手袋に1円玉大程度のコンディショニングクリームをとり、よくなじませて浸透させます。


バッグの口のまわりや、底に近い部分の革は水分が飛びやすいので、うるおいを足してあげるようなイメージで、薄くコンディショニングクリームを伸ばします。


バッグの底の角の部分も乾燥して色が抜けたり、黒ずんだりしやすいので丁寧にクリームを塗ります。

■ひっかき傷ができたら

ゴートヌメは傷に強いので、ひっかき傷程度なら、乾いたやわらかい布で乾拭きするだけでもOK。少し気になる傷にはコンディショニングクリームで油分を補うことで、目立たなくすることができます。


キズができた部分には、コンディショニングを多めになじませたクロスや綿手袋で、傷とは逆の方向にやさしくなじませると目立たなくなります。


コンディショニングクリームでのケアが終わったら、30分以上置いて防水スプレーを吹きかけておきましょう。

■しばらく使わないバッグの保管

しばらく使わないバッグは中身を全部出して、掃除機などで中のほこりを吸い取り、ブラシで表面のほこりを落としてから保湿クリームをなじませます。必ず自然乾燥させてから、買ったときに付いていた布収納袋に入れて保管します。湿気がこもってしまうビニール袋は避けましょう。

型崩れを防ぐためには、重ね置きを避け、中に丸めた紙などを入れるといいでしょう。ただし、新聞紙は内装にインクがうつるのを防ぐために、外側を無地の紙やタオルなどくるんでから入れます。防虫剤や乾燥剤は、革に触れると変質を起こしてバッグの色や質感が変わってしまう可能性があるので使用しないことをおすすめします。

保管場所は直射日光が当たらず、できるだけ風通しの良いところがベスト。室内にバッグを掛ける場所があるなら、そこに掛けておくので十分。クローゼットや押し入れに収納するときは、ときどき扉を開けて風を通してあげましょう。

ゴートヌメは水や摩擦、傷にも比較的強いので、満員電車で擦れあったり、ひっかいてしまったときも傷ができにくく、お手入れがとても簡単です。革製品を初めて持つ方にもとても扱いやすいので、ぜひ一度お手に取ってみてください。


デリケートクリーム、コンディショニングクリーム、防水スプレー、ブラシ、クロスがセットになった「gentenレザーケアキット」はレザー製品全般のケアに必要なものが揃っています。
※2019年8月よりアップグレード版を販売中。

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