愛着のあるものを大切に運び、出しやすく収める

gentenスタッフ3人が、ライフオーガナイザーの会田麻実子さんに鞄の整理収納のコツを教わる「ちいさな収納」シリーズ。第3回は、「genten tenotsutae 市谷店」店長の尾山がクラッチバッグの中身を見せてくれました。こだわりを感じらる小物の数々に会田さんも興味津々です。

物同士のぶつかり合いが気になる
仕切りのないクラッチバッグ

会田さん:めずらしい形のバッグですね。実は、お会いした瞬間からずっと気になっていたんです。ご自身の雰囲気とも合っているし、エイジングした革の風合いがとても格好いいです。

尾山:荷物をコンパクトに持ち運べるクラッチバッグが好きで、もう5年くらい使っています。バッグはあまり替えずに、気に入ったものをずっと使うほうですね。

会田さん:使い込まれた革の感じから愛着の深さがわかります。中身も厳選されていて、ひとつひとつストーリーをお聞きしたいくらい。余計なものは一切入っていない印象ですが、バッグの収納で悩んでいることはありますか?

尾山:使いたいものが、すぐに出てこないときがあること。それから、持ち運んでいるうちにバッグの中で物同士がぶつかって、傷ついてしまうことが心配です。バッグインバッグやポーチを使うことも考えたのですが、このバッグにちょうどいいものがなくて……。


左上から、印鑑、パスケース、鍵、綿棒ケース(ペンやアトマイザーなど)、コインケース、整髪料、USBスティック、眼鏡ケース、ペンケース、メジャー、印鑑ケース、財布、スマートフォン、名刺入れ、お守り


バッグに持ち物を全部収めたところ。ちなみにバッグは“紙袋”をイメージしてデザインしたdan gentenの「ヴァッローネ」(2012年秋冬限定モデル)。


年月を重ねた色つやが味わい深い革小物。小さなコインケースには切手が収納されているとか。


3ポケットの印鑑ケースには、マルチツールナイフ、リップクリーム、目薬を収納。



小さな物を自立させる
仕組みをバッグの中に作る

会田さん:バッグインバッグは確かに便利ですが、バッグの形やサイズに合わないと、意外に使いこなすのが難しいんです。このクラッチバッグなら、仕切り代わりにハガキを1枚縦に入れて空間を2つに区切り、よく使うものと、そうでもないものに分けるだけでも、探し物の総量を減らすことができます。

綿棒ケースを使った収納は、尾山さんご自身がお考えになったのでしょうか? 迷子になりやすそうなものがひとまとめになっていて、しかも縦に自立して収まっている。とてもいいアイデアです!  綿棒ケースは透明で中身も見やすく、しかも軽いので私も愛用しています。

尾山:いつも綿棒ケースに入れているのは、他の荷物に紛れやすい印鑑ケースやアトマイザー、お守りなどです。物が傷つくのを避けたいので、鍵やペンもここに入れています。ふと「これ、ぴったりだな」と思いついたんです。

会田さん:仕切りやポケットのないバッグの収納で大切なことは、物が勝手に移動しないように、バッグの中の空間を区切ることと、使用頻度や重要度によって物を分けることです。綿棒ケースは、このクラッチバッグにぴったりの素晴らしいアイデアですし、マチが広い大きめのバッグなら、書類ケースやかごなども便利です。

尾山:なるほど。ポーチに限らず、文房具や収納用品をバッグに入れて使うという考え方もあるんですね。身の回りの箱やかごなどにも目を向けて、さらに工夫してみたいと思います!



綿棒ケースに細かいアイテムをまとめる収納アイデアは会田さんも絶賛。



書類ケースや収納かごで
バッグの中を安定させる

会田さん:意外に思う方も多いかもしれませんが、オフィスでよく使われる書類ケースや個別ファイル、雑貨を収納するかごや箱なども、バッグ収納の頼もしい味方になってくれます。

そのまますっぽりバッグに入れて、物を縦に入れていくことで、持ち物全体が把握しやすく、取り出しやすくなります。物がバッグの中で安定するので、物同士のぶつかり合いや迷子防止にも。

ポイントは次の3つです。
・バッグの深さやマチ幅などサイズの合うものを選ぶこと。
・収納ケースの中で物は重ねず、すべて縦に入れること。
・収納ケース自体の重さに注意すること。

身近な収納アイテムで、いろいろ試してみてください。


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会田麻実子(あいだ・まみこ)
ライフオーガナイザー®
片づけ収納ドットコム副編集長

金融企業の広告部門を経て、子どもの頃から苦手だった片づけを克服した経験をもとに、ライフオーガナイザーの資格を取得。自宅公開型のレッスンや、クライアント宅での片付けレッスンを通じて「自分らしい片づけ」を提案して好評を得ている。

https://www.kurashito.net/