オーガニックワインのすすめ 第5回

ワインを手にとるときに目安にしているものは何でしょうか。銘柄名や造り手、生産地、そしてオーガニックかどうかなど、普段選ぶときに基準にしているものがあると思います。そんなことを頭の隅に入れながら、この産地のワインを買おう、とワインショップに行ったのに、ついついエチケット（ラベル）が可愛らしくて買ってしまうこと、ないでしょうか。

思わず手に取りたくなるキュートなエチケットのワイン。もちろんオーガニックワインにもあります。今回は、可愛らしいエチケットに心惹かれて、思わず“ジャケ買い”したくなるワインを、日本初のオーガニックワイン専門店「マヴィ」の創業者・田村さんに田村さんにご紹介いただきました。

ブランドフォリー 赤

少年がぶどうの梗でジャグリングする様子が描かれた、澄んだ空を思わせるブルーのエチケット。ブランドフォリーは、その楽しげなイラストのワクワク感が、そのまま形になったような気さくな赤ワインです。

このワインを生産するボワザール氏のシャトーがあるのは、フランスのロワール地方。9haの畑の20％を愛馬が耕しているだけでなく、ソーラーパネルや水の浄化システムがついたエコハウスにボワザール氏が住むなど、シャトーの環境や生活もオーガニックを取り入れています。

ブルーベリーやプラムのような果実に、紫の花やきのこなども感じるような奥行きのあるチャーミングな香り。いきいきとした甘酸っぱい果実味と穏やかな渋みの気軽に飲めるワインです。名前はフランス語で「君に夢中」。ひと口飲めば夢中になってしまいそうな味わいです。鶏レバーのサラダや、ブルーチーズをソースに使ったステーキとぴったりです。

マムゼル ビュル ロゼ 発泡

バラ色をしたロゼのスパークリングワインは、そうでなくても心が踊るのに、こんなフレンチポップなテイストのエチケットだと、なおさら楽しい気分になれるのではないでしょうか。

マムゼル ビュルはシャンソンのタイトルでもある「ぴちぴちのお嬢さん」という意味。このワインを仕込んでいるときに、生産者のショヴァン氏のお嬢さんが口ずさんでいたことからこの名前がついたのだとか。

いちごや洋梨、さくらんぼを思わせる香りが華やかで、いきいきとした泡とほんのりとした果実の甘みが心地よいキュートな味わい。生ハムやフルーツと共に、よく冷してどうぞ。

ディヴィンヌ プロポルシオン「黄金比率」 赤

エチケットの左側に振られた数字と、上下に書かれた品種名。これを見てピンとくる人は、「ダ・ヴィンチ・コード」の熱心な読者かもしれません。エチケットに書かれているのは品種の比率。それをコントラストの強い2色で描いています。

このワインを生産しているセヴリーヌ・ブーリエさんはボルドー大学で醸造学を修めた才媛。ワイン造りに関しても完璧主義者ともいえる生産者です。彼女が新たなワインを産み出すべくぶどうのブレンドを試していたとき、ついにこれだ、という比率を発見しました。それがエチケットに書かれたカリニャン：カベルネ・ソーヴィニヨン＝8：5というもの。

その数字がフィボナッチ定数の第6項対第5項だとすぐに気づいたブーリエさんはこのワインに「黄金比率」と名付けました。その名の通りの気品ある美しい味わいなのに、どこかホッとする心地よさを感じさせてくれる1本です。スパイスの効いた料理とよく合います。

ラ ボエーム（リムー古代製法） 発泡

赤いドレスを着た女性が羽根の上で踊る、軽やかな印象を与えるエチケット。その名前はきっと誰もが聞き覚えがあるのではないでしょうか。ラ ボエームは、バレエやオペラのタイトルとしてよく知られていますが、その名を冠した古代製法のスパークリングワインです。

モーザックという、ラングドック地方の地元品種で作られるスパークリングワインは、シャンパーニュと違い糖分を足さずに造られるため、ほんのりとした甘みと、穏やかな炭酸が感じられるやさしい味わい。アルコール分も低めです。このワイン、なんと二酸化硫黄（SO2）を一切添加せずに造られています。これは、生産者であるベリュウさんのこだわりでもあります。

その分、1本1本個性が違いますが、開けるたびに新しい発見と出会える楽しさがあります。
よく冷して焼き菓子などと一緒にいただくと、きっとその夜がパーフェクトになるような、そんな味わいのワインです。

エチケットで選ぶことから始める
奥深いオーガニックワインへの旅。

可愛かったり、きれいだったりするエチケットだけを基準に、ワインを選んでみるのも楽しい遊びのひとつです。でも、それには生産者の思いがきちんと込められています。その思いを汲み取ったり、造り方にも着目することで、オーガニックワインの奥深い世界への扉を開いてみましょう。思いもかけない出会いが、たくさん待っていますよ。

オーガニックワインのすすめのその他の記事はこちら
第1回「桜色のワイン」
第2回「ちょっと上質な週末のワイン」
第3回「ナチュラルなボジョレーヌーヴォー」
第4回「ビオワイン」

店舗情報
オーガニックワイン専門店マヴィ 赤坂本店
住所：東京都港区赤坂2-21-5
電話：03-6277-7169
営業時間：月～金曜12:00～20:00／土・日曜12:00～19:00
定休日：祝日
https://mavie.jp/akasaka/