オーガニックワインのすすめ 第4回

余計なものが入っていなくて、体にやさしいナチュラルなワインを求めていると、よく耳にする「ビオワイン」という言葉。ビオ、と付くとなんとなく体に良さそうな感じもしてしまいます。
このビオワイン、オーガニックワインとは何が違うのでしょうか。今回もオーガニックワイン専門店「マヴィ」の田村安さんにお話しをうかがいしました。


「ビオワイン」と「オーガニックワイン」
同じように聞こえて実は違うもの


「ビオという言い方は、とても定義が曖昧なものなんです。本来はオーガニック農法を意味する『ビオロジック』や、その農法の一種である『ビオディナミ』の省略形のことで、EUでは『ビオ=オーガニック』と規定されています。
ですが日本では、ビオという言葉に法的な規定がないので、EUのオーガニック認証の規定に沿わないワインにも使われています。例えばオーガニック農法の一部を満たしているだけのものもビオワインと呼んだりします。
それに対して、オーガニックという言葉は、法律に基づく表現なので、EUだけでなく日本でも、公的認証を受けないと使えないんです。使うと処罰の対象にもなります。ですから、オーガニック、とついている方が確実です」と田村さん。

ビオワイン、と紹介されたとに気をつけたいのは、オーガニック認証のマークが入っているかどうかを確認すること。エチケットや裏ラベルをよく見てワインを手に入れたいですね。

各国内それぞれいくつか認証団体があるなかから、代表的なものを以下にご紹介します(順不同)。ぜひご参考に

EUオーガニック認証


ドイツ


フランス


イタリア


スペイン
 

イギリス


アメリカ
 


さて、今回はオーガニックワインの入り口として、特におすすめしたいワインをチョイスしていただきました。


クレレット ド ディ ビオ シュール(古代製法)発泡

フランス、ローヌ地方のアルプスにほど近い場所にあるアシャール家。標高が高い場所にある畑は、6代も前から化学肥料や除草剤の使用を一度もしたことがありません。6代目に代替わりしてからビオディナミ農法も取り入れ、徹底してオーガニックなワイン造りに取り組んでいます。

発泡性のワインと言うと真っ先に思い出すのはおそらくシャンパーニュだと思いますが、このワインは古代製法によるもの。瓶内二次発酵を行うシャンパーニュとは違い、ガスがワインの中に残っているうちに、酵母を取り除くことで出来上がります。

古代製法の発泡性ワインは、口当たりのやさしい泡が特長。ひと口飲むとホッとするような、ほんのりとした自然な甘みもあります。ちょっぴり疲れた週末の夜のごほうびにぴったりのワインです。



カバルデス キュヴェエクスキーズ赤

南仏ラングドック地方のカルカッソンヌは、世界遺産の城塞都市として名高い町。その町の近郊にあるワイナリーが産み出す赤ワインです。

ラングドック地方は、かつて安価なテーブルワインを産む土地として知られていました。しかし、今ではオーガニックワインの先駆けの地域として知られるようになりました。

このワイナリーがオーガニックに転換したのは1989年。もともと農家でなかったタリ氏はさまざまなワイナリーを見て回り、オーガニックワインを安定して造る方法を研究し尽くした理論派。最新の手法を取り入れたワインは、数々の賞を受賞しています。

その土地柄から、ボルドーとラングドック、両方の影響を受けています。ワインは果実の凝縮感やスパイスのニュアンスが感じられる味わい。仔羊をシンプルにグリルしたものや、焼肉などとの相性が抜群。天使のラベルも愛らしい1本です。



フリポンヌ 赤

フランスの、古城が多い地域として知られる、ロワール川流域のアンジュにあるワイナリーが造る赤ワインです。このワインの特長はなんといっても、酸化防止剤(SO2)が一切使われていないこと。

代々長い生産者ですが、オーガニックに転換したのは2008年。ショヴァン氏はとても研究熱心で、チャレンジ精神旺盛な造り手です。酸化防止剤を使わないのは、ひとつの挑戦でもあります。

フリポンヌはフランス語で「いたずらっ子」を意味します。軽やかで果実味のあるピュアな味わいから、ショヴァン氏のチャーミングな人柄が感じられます。キッシュやハム、ソーセージ類とともに楽しみたい1本です。



自分の目で確かめ、選ぶこと。
それがオーガニックな生き方につながる


最後に田村さんより。「オーガニックに関心を持って、いろいろな情報を集めたり、さまざまな情報に触れることで、自分で考え、選ぶことの大切さを知る方が多いです。与えられたものだけをそのままに受け取るのではなく、自分の目で確かめて選ぶことは、暮らしを楽しみながら創り出す、豊かな生き方につながっていきます。それこそがオーガニックな生き方。よりよく生きるために自分の手で選ぶことが大切なんです」


オーガニックワイン専門店マヴィ 赤坂本店
住所:東京都港区赤坂2-21-5
電話:03-6277-7169
営業時間:月~金曜12:00~20:00/土・日曜12:00~19:00
定休日:祝日
https://mavie.jp/akasaka/

オーガニックワインのすすめのその他の記事はこちら
第1回「桜色のワイン」
第2回「ちょっと上質な週末のワイン」
第3回「ナチュラルなボジョレーヌーヴォー」