手仕事を大切に思う心が共鳴し合った異色のコラボ

銀座SIX内のgenten monococoroには、世界で活躍するカリグラフィー・レタリングアーティストLetterboyさんとgentenのコラボレーションアイテムが展開されています。どちらかというとストリートやスケートボードなどのイメージが強いLetterboyさんとgentenの異色ともいえるコラボレーションについて、お話を伺いました。

インバウンドも意識して今までの
gentenにない商品を作りたかった


LetterboyことPeter Liedbergさんのアトリエを訪ねると、ドアや窓ガラス、壁のなど部屋中にさまざまなデザインの文字が踊る、独特の空間が広がっていました。カリグラフィーとはギリシャ語で「美しい書き物」という意味で、アルファベットや絵文字を美しく、独特のタッチで書く技術です。Letterboyさんは、幼少のころにお母さんがカリグラフィーの本を持っていたのを見て、興味を持ったことが最初の出会いだったそうです。


 gentenスタッフ もともとは私がLetterboyの作品のファンで、いつか一緒に何か作りたいと思ってInstagramをチェックしていたんです。特に面白いなと思ったのが、神戸や青森、熊本など県のロゴを描いた作品。それぞれの地域の特色がきちんと現れているのに、不思議な新しさを感じたのです。技術はもちろんですが、表現の振り幅がすごい。彼がgentenとコラボレーションしたときに、どんなものが生まれるか見てみたかったのです。

Letterboy カリグラフィーやレタリングも、バッグなど革製品を作るのも、同じ人の手で行われる作仕事です。gentenの工房を見せてもらうことでインスピレーションが湧いて、楽しくコラボレーションができそうだと思いました。

gentenスタッフ Letterboyの作品は今っぽいストリートのニュアンスもありながら、カリグラフィー自体は伝統的な王道のテクニックでもある。しかも、それを東京でやっているのが格好いいと思ったんです。私たちgentenがGINZA SIXという場所でインバウンドも意識した展開を考えたときに、日本人にはないフラットな視点、そしてgenten発信でもない、新しいものが欲しいと思いました。

Letterboy 一口に革製品といっても、考え方やデザインによって、いろいろなものが作れるでしょう。私の手掛ける文字も同じです。デザインの幅によっていろいろな表現ができる。手仕事という意味では、gentenとの共通点があると感じました。私の手掛けるカリグラフィーは、昔ながらの伝統もありつつ、今のスタイルも取り入れて、自分のスタイルにしていくという手法をとっています。

伝統と新しさをミックスさせて
モノと心のやり取りができるアイテムを

風呂敷のグラフィック

左から、エプロン、トートバッグ、あづま袋

今回のLetterboyさんとgentenのコラボレーションアイテムは、エプロン、トートバッグ、あづま袋、風呂敷の4アイテム。昔から包む文化のあった日本の風呂敷や、風呂敷の発展形である、あづま袋、そしてエプロン、トートにLetterboyさんのグラフィックを配した、gentenには今までになかったラインナップです。

gentenスタッフ ブランドをの立ち上げから今年で20年。ハンドクラフトとか、エコロジーとか、イメージが固定化されてきたものを一度フラットにしたかったのです。伝統の良さは大切にしつつも、もっと間口を広げていろいろなアプローチで、ライフスタイルの提案をしていきたかった。そんなときに、カリグラフィーというクラシックな手法を、自由かつ柔軟なアプローチで作品にしていくLetterboyの姿勢や作品には共鳴する部分がありました。


Letterboy 伝統といってもかしこまったスタイルではなく、枠にとらわれず、自分らしさを大切にするのが私のプロセスです。パソコンを使って文字のデザインをするようになったのは、ここ数十年のことで、それまではすべて人の手で行われていました。たとえば街の看板も同じで、私は昔ながらの手描きの看板が好きなので、気にして見るようにしています。そういう血の通った仕事が最近は減ってきているので、大切にしていきたいですね。


gentenスタッフ 今回はLetterboyがgentenらしいハンドステッチをモチーフにしてくれたので、手仕事のよさを表現できるように全体的なバランス感を大切にしました。単色使いでも映えるバランス感というか……。店頭に並んだときのイメージでは、お土産としても買っていただけるし、あづま袋や風呂敷は買ってすぐに使っていただけるアイテムですね。

Letterboy エプロンは何か作業をするときに必要なものです。私たちが心を込めて作ったアイテムを使って、次は買ってくれた人がモノを作って発信者となる。そうしたモノと心のやり取りが連鎖していくと素晴らしいですね。それからモノを作る時間も楽しんでもらえたらと思いました。

gentenスタッフ ふだんは革というマテリアルの良さをいかに引き出し、伝えるかということを考えているので、Letterboyのグラフィックを商品にするときに、配置やバランスなどにとても気を遣いました。たとえば、風呂敷の四隅にはLetterboyが描いた漢字を配しているのですが、広げたときも、結んだときも文字が読めるようにするにはどうしたらいいか考えるなど、今までにない経験をさせてもらえました。

Letterboy 最終的にはとてもいい着地点を見つけられたと感じています。また一緒に何か手掛けることができたら嬉しいですね。


PETER LIEDBERG IS LETTERBOY

I am a Graphic Designer who works with print, typography, calligraphy and digital graphics.Currently working from Tokyo, working for clients locally and worldwide.Please contact with expressions of interest or for more information.

スウェーデン出身で東京在住のグラフィックデザイナー、カリグラフィー・ハンドレタリングアーティスト。タイポグラフィー、カリグラフィー、デジタルグラフィックなど文字にまつわる様々な手法で活動している。東京や大阪、スウェーデン、オーストラリアなど世界各国でカリグラフィー・ハンドレタリングのワークショップを開催。
HP : www.letter-boy.com
Instagram : @letter_boy