「genten」ができるまで

しっくりと手になじむ質感。上質で高級感ある風合い。ハンドメイドならではの独特な表情はどのように創作されているのか。一つひとつを丁寧に仕上げる職人の技と工程をご覧ください。


鞣す。革へのこだわり。

革に対する究極のこだわりから、 
工程に最低1ヵ月以上の月日を要する。

gentenで使用している革はすべて植物性タンニン鞣し。ミモザの樹皮やケブラチョ・チェストナットなどから抽出した液につけこんで「皮」を丈夫で腐りにくい「革」にかえます。

タンニンなめしの歴史は古く、古代エジプトで、すでに行われていた手法です。その工程は15以上にも分かれ、原皮から1枚の革に仕上がるまで30~50日を要します。

現在主流になっている、塩基性硫酸クロームを用いたクロームなめしより、20日以上もの日数がかかる、大変手の込んだ方法であり、重金属を含まないため、自然にやさしいと言えます。

タンニン鞣しの革は渋い色の茶褐色をしており、収縮性が少ないため、耐久性に優れ、なによりもその自然な風合いが使い込むほどに増してくるのが特徴と言えます。


準備工程/5~15日
原皮を洗浄・脱毛し、なめし液が染み込みやすくする。

なめし工程/10~25日
タンニン液に漬け込み熟成させます。タンニン中に 含まれるポリフェノール化合物がコラーゲン(タン パク質)中のアミノ酸と結合することにより皮は なめされます。

仕上工程/10日
延伸、乾燥させ、形を整え仕上げます。

詳しくは、革ができるまで(ムービー)をご覧ください。


鋳る。金具へのこだわり。

2000年以上前から人々に
愛される昔ながらの金属。

gentenがこだわっているのは、皮革だけにとどまりません。金具では、最終的には錆びて土に還ることの出来る鉄を革巻きにしたり、銅と亜鉛の合金素材である真鍮(しんちゅう)を使用しています。

真鍮は黄銅とも呼ばれ、適度な強度と展延性(力を加えると永久的に変形する性質)が特徴の素材で、古来より鉄砲の薬きょうや仏具、金管楽器などに使われていて、一説には2000年以上の歴史がある素材と言われています。

金具の製造は、枠に詰め込んだ砂から型を取り、溶かした真鍮をそのひとつひとつに流し込むなど手間隙もかかります。しかし、それでもgentenでは素材ならではの「味」と「温かさ」から真鍮にこだわり続けています。

経年変化する革同様、少しずつニュアンスを変える真鍮や鉄は、gentenにとって欠かせない要素の一部分になっています。


縫う。職人たちの技。

植物性タンニンでなめしたレザーを
自慢の職人が丁寧に仕上げる。

タンニンなめしのレザーは、東京にあるクイーポの工房などに運ばれ、職人たちがバッグに仕上げ、店頭に出荷。商品の多くはタイの自社工場で作られており、日本の職人による商品は、海外生産のお手本にもなっています。

職人たちは、納期に合わせて時に複数のバッグを同時進行で生産するほか、gentenの新作バッグのサンプル作りなどを任されています。ミシンでレザーを一気に縫い上げることもあれば、昔ながらの手縫いでバッグを仕上げることもあり、さまざまな工具を用い緻密なカットワークを生み出すこともあります。いずれも、繊細な気配りと根気が必要な作業ばかりです。

特に麻糸を二本針で縫い上げるハンドステッチ(写真上部)は、gentenが最も大切にしている技法。一針一針の手仕事が堅牢なステッチラインとなって、長くお使いいただける物づくりと味わいにつながっています。

詳しくは、革ができるまで(ムービー)をご覧ください。


魅せる。

経年変化する建物で
ブランドの世界観を発信。

gentenがこだわるのは商品やサービスだけではありません。直営店を筆頭に、店舗にも環境と調和する工夫を凝らしています。

genten市谷本店があるクイーポ本社ビルは、割肌の天然石と瓦職人が焼いた美濃のテラコッタに包まれています。また店内は、漆喰の壁、石やフローリングの床をベースに、ヌメ革や鉄、木材の家具を配し、出来得る限り天然素材で空間を作り上げています。


販売においては1999年のデビュー当時より、gentenでは紙袋の代わりに布バック(=エコバック)にお包みしています。これも環境に配慮したサービスのひとつとして取り組んでいます。

また直営店には工房を併設し、長く使っていただくための修理やオーダーを受け付けています。


時が経つほどに少しずつ味を出す素材で創られた建物と店内、数々の工程を経て陳列されるgentenの商品。「人間も自然の一部である」という思想の全てが集約された空間になっています。