植物のある暮らし 第2回「すずらん」

幸せをあの人に。

大切なひとに思いを届けるミュゲーの祭日。鈴のような、可憐な白い花、すずらん。別名も、君影草、谷間の姫百合と、ロマンティックな名前です。香りも上品で穏やか。

「5月1日にすずらんを贈ると幸せになれるというんですよ。贈った相手も、贈る人も」。と、新宿御苑「リリー オブ ザ バレイ サロン ド フルール」の橋本美穂さん。フランスではこの日を「ミュゲーの祭日」と呼び、大切なひとにすずらんを贈るのだそうです。

どちらかというと鉢物のイメージがあるすずらん。花の季節になると、ちょっと洒落た花屋さんには、根付きのすずらんが出回るようになります。根付きなので花持ちもよく、1週間ほど楽しむことができます。

「よく、根付きのすずらんを植えたら根付くのかと訊かれることがあるんですが、運ですね。ちょっと根付きにくいんです。寒さに弱いので、根の周りは新聞紙で覆ったりするといいかもしれません」。


 


花だけでなく根も。
自然のままを愛でる。

根付き、というとなんとなくワイルドな印象ですが、生命力にあふれる根と、そこから伸びる緑、可憐な花の丸ごとを楽しめる、という醍醐味も。根付きのすずらんをそのまま、普段使っているワイングラスに挿せば、ナチュラルな印象。

「根が花留めになるので、生けやすいですよ。ガラス器に挿せば、根も楽しむことができます」。1本でも、数本でも。根がある分花を思った位置に置きやすく、絵になりやすいのもいいところです。

 少しずつ高さの違うガラス器に生けて、テーブルの中央にまとめて置けば、リズム感のある印象に。シンプルだけれど、根の自然な風合いと可憐な花が楽しめる、さりげないアレンジです。


切花のブーケで
甘い香りを楽しむ。

もちろん、根を切っても楽しむことができます。小さなブーケを作って、バスケットに入れれば、ちょっとお客様が来たときにも。「根を切って生けるときは、必ず投げ入れで。オアシスに生けると、水を吸い上げにくくなってしまうんです」。

茎が弱いので、束ねるときには輪ゴムを使わず、セロテープで留めるのがいいそう。これなら元気に水を吸い上げてくれます。

バスケットの中には、プリンカップなどに水を入れて花瓶代わりに。片側にリボンを結んでも。色はお好みで。リボンと反対側にまとめたすずらんを生ければ、やさしい印象のアレンジになります。

 甘い香りも相まって、優しい気分になりますね。やはり、すずらんは、贈った相手も、贈ったひとも、幸せになれる花なのかもしれません。


 

橋本美穂(はしもと・みほ)
第一園芸ホテルオークラ店に勤務。 その後、ヒビヤフラワーアカデミーでのインストラクターを経て2003年独立。リリー オブ ザ バレイ サロン ド フルール代表。

リリー オブ ザ バレイ
東京都新宿区新宿1-3-2 サンクチュアリ新宿御苑アネックス1F
03-6808-2555
営業時間 平日:12:00~19:00 土日祝:11:00~17:00
定休日:月曜
公式サイト:http://www.suzurankai.com