蔵前めぐり「MAITO/真糸」

春なら桜。メイドインジャパンの草木染め


“草木染め”の先入観を覆す美しい発色。
多彩な色があふれるアトリエショップ。

蔵前にはたくさんの“ものづくり”のお店がありますが、やはりもともと職人さんが多い革製品関連のお店や、セレクト系の雑貨店がよく目につきます。そんな中で比較的異色といえるクラフトショップがMAITOさん。店内に染色工房を構える草木染めの専門店です。

国際通りに面したお店は全面ガラス張り。四季折々に色や商品が変わる店内を「ガラス越しに眺めるだけでも癒される」とはgenten工房スタッフ・Aの談。


店先に飾られた「草木染と天然素材とメイドインジャパン」のボードも、年月を経た趣のある味わい。右側の笊に入っているものは染色の原料。

 

草木染めと聞くと、グリーンやベージュなどの淡いアースカラーを思い浮かべますが、MAITOさんの店内には鮮やかな赤や黄色、ピンクも色味のしっかりしたものからパウダー系まで、そのバリエーションの豊富さに目を奪われます。

アイテムも、アパレルからストール、バッグやストラップ、袱紗などの小物まで、さまざま。すべて天然素材で、日本各地の作り手の方々と手を取り合ったものづくりをされているそうです。



 

「染色は、自然ってすごい、を伝えられる仕事」。
MAITOの染色家・小室真以人(まいと)さん。


草木染めブランド「MAITO」を立ち上げたのは、福岡県出身の染色家・小室真以人さん。小学生のとき、福岡県秋月という城下町に移住してお父さんが草木染めの工房を始めたのが、小室さんの草木染めとの出会い。その後、東京藝術大学の工芸科に入学。当時は染色の仕事をするとは考えていなかったそうですが、大学でさまざまな素材や技術に触れたことで、あらためて自分が好きなものは色、その色を生み出す草木染めがやりたいと道が定まったのだそうです。

「植物は生き物。命をいただいている」と小室さん。例えば桜の草木染めなら、さくらんぼ農家さんが枝おろし(剪定)を行ったときの枝を利用するなど、廃棄素材を有効活用。

自然の恵みとその循環を大切にした草木染め。お話しをうかがうほど、私たちgentenスタッフは深い共感を覚えました。草木染めに携わる毎日がとても楽しそう。

「楽しいですよ。染めるプロセスに感動があります。天然素材と天然染料、自然のものを扱うのは毎日、発見がある。安定性の高い化学繊維や化学染料では味わえない楽しさです。天然のもの、“本物”を普段の生活に落とし込んでこその草木染めだと思います。自然の力、自然のすごさを伝え、多くの人に喜んでもらいたい」。


 「ピンクの色素が詰まっている」という桜の枝。煮出した染液は実に鮮やか。


同じ染液でも漬ける時間や回数、素材によっても色合いが変わる草木染。ひと口に「桜染め」「ピンク」と言ってもこんなに種類が!





蔵前は素敵な人たちが集まっている街。
草木染めの伝統・魅力・可能性を発信。


蔵前にアトリエショップを構えることになったのは、大学と、蔵前に知り合いが多くいてなじみが深かったこと、そして、職人さんが多い街だからだそう。「わからないことがあったら、すぐそばに聞ける人がいる、知っている人がいる。他業種・異業種が集まって、ものを生み出そうという空気感があって、若手もベテランも同じ目線で話ができる。本当に素敵な人たちが集まっている街です」と小室さん。

MAITOさんでは染色作業や商品を販売するだけでなく、月1回(金・土曜の2日)、季節の植物をテーマにした草木染めのワークショップも開催されています。初めて草木染めを体験する人から、親子連れ、学生さん、中には5~6年通っているコアなリピーターの方もいらっしゃるという人気企画です。

ワークショップについての詳細は公式サイトへ
http://MAITOkomuro.com

「古来、受け継がれてきた草木染めが失われつつあるのはもったいない」と伝統を受け継ぎ、革に草木染めを施すなどという新しいチャレンジにも意欲的な小室さんのアトリエショップ。蔵前散策の折にはぜひ立ち寄ってほしいgentenスタッフおすすめのお店です。


 
店舗情報
MAITO/真糸 蔵前本店
住所:東京都台東区蔵前4-14-12 1階
電話:03-3863-1128
営業時間:11:30~18:30(月曜定休)


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